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あるガラス吹きの徒然日記。

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2005年 07月 05日

ぼうる

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昨日の文章を読んだら、なんとなく変だ。
なのでちょっと一部補正を。
吹きが「なるようになる」でキャストが「初めに答えありき」と書いたけど、それは最初の頃の話で、今はやっぱり吹きも答えありき、で作っているようだ。今は仕上がりはやっぱり計算してから作る。


吹きガラスを始めた頃は、作りたい形があってもそこへ辿り着くことが出来なかった。
学校にいた頃、吹きの時間はクラスメートのパートナーがいて、例えば作る前に「おっきくて丸い形、つくりま〜す」てな宣言をして作る。

で、始めるとこれが例えばおっきく丸くでも
・・あまりおっきくならない。・・そして丸くならない。
必死になればなるほど、妙な形になっていく。

苦労してるよなあ・・・というパートナーの視線を後目に格闘するものの、結果小さくて長いものが出来たりして、落ち込んだ。

ある時、吹きの時間の事。
吹きの先生はアメリカ人の先生で、日本語があまり上手ではなかった。というか、ほとんど話せない。
僕はボールか何かを作っていた。
「ソレハナンデスカ?」
・・・・
(ぼーるや、ぼうる!わかるやろ)
と思いつつ「ボールです!」と答えてみる。
と、先生は無言で僕の竿を取った。で、おもむろにガラスを焼いて、作りかけのボールを真っ平らの板にしてしまった。
そして、それを一気にががががっと本当の「ボール」にしてしまった。
(リセットしてから一気に作っちゃったのね・・・)
返す言葉もなく、立ちすくむ僕に竿を手渡すと、去ってゆく先生・・・
なんという屈辱!僕は1時間くらい格闘していたのに・・・5秒で作られてしまった!

当時は、その出来事に打ちのめされたけど、言葉の不自由な先生は、「まあ見なさい」って見せてくれたのだろう、と今は思う。

そのボウル、今は工房の棚の中。
慢心しそうなとき、そ〜っと出して手に取るようにしている。


参加してます。

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by glassroom | 2005-07-05 19:51 | 吹きガラスの事


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