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2006年 09月 30日

作業効率向上部!

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電話が鳴る。
受話器を上げると明るい、だが事務的な女性の声がする。
「社長様、いらっしゃいますか?」
すぐに、何かのセールスということが分かる。
とりあえず、僕が社長だからハイと答える。

またあるときはこんな電話。
「広報担当の方お願いします。」
広報担当も僕だから、ハイと答える。

またあるときは「社員採用担当の方・・・」
採用担当は僕だからハイと答える・・・・
ああ・・・

対外的に僕はすべてを担当しているが、僕の中にはちょっと別の担当部署が沢山ある。
絶対的権限を持つのは作業効率向上部である。
元々、製造部から細分化した部署だが、近年勢力を伸ばしてきたのである。

本日はこの作業効率向上会議が開かれ、賛成多数でサンドブラスト作業用机の改造に着手することが決まった。
狭い工房、サンドブラストのメンテナンスには机が邪魔なのだ。

で、向上部の直属である改造施行課の課長、僕を呼びつける。
「というわけで、机の改造を速やかに行うように。」
「予算は?」
「ゼ・ロ」と向上部、総部長僕。
「ふーむ、いつもながら大胆な予算枠を組んでおられますな。」
「なになに、製造部がもう少しがんばってもらわんと予算が出ないわ。」

「まてまてまてい!」
そこへ割って入る製造部 部長、僕。
「おい、お前ら作業効率向上部がいっつもよけいな事始めるから、かえって時間食って「作業効率」が落ちるじゃないか。よけいな事しないでくれ。」

「何を言っとる、僕は根がぐうたらだ。ぐうたらはめんどくさいことがあると、結局やらなくなる。だから面倒でも効率が上がるように、楽にできるようにしておく、それが大切だと一番ご存知なのは、製造部 部長、あんたじゃないか!」

それを言われるとぐうの根も出ない部長、僕。
「あ、はい。しかし予算なしでどうしましょう。」
「机はコンパネの切れ端、足は昔の展覧会で作った展示台分解、蝶番でつなぎたまえ。」
「らじゃー!」

そんなわけで、セールスの方、うちには「社長」も「広報担当」も「採用担当」もほとんど存在感ありませんので、上記の部署にお電話ください。
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おお〜、完成!跳ね上げ式の机になったじゃないか!やったぞ作業効率向上部!

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by glassroom | 2006-09-30 18:26 | 日々の出来事
2006年 09月 29日

ある話

書くべきか少し迷って、書く事にする。

古い友人が亡くなったと、風の便りのように知人から聞いた。
最初、聞いたとき僕は自分の記憶にある少年の彼の姿を思い出した。だが勿論彼も歳をとって、容姿は変わっていただろう。どんな生活をしていたのか、どこにいたのか僕は知らない。

僕は、彼とかなり仲良く過ごしていた一時期の事を、古いアルバムを開くように少しずつ思い出す。

初めて出会ったのは、彼が転校してきて教室で挨拶をした時だった。当時、同級生たちは歌謡曲ばかり聞いていた時代、僕は一人こっそりロックを聴いていた。

図工の時間、「木箱の制作」があった。僕はふたの部分になぜか「なまず」を彫った。ふと見ると彼はエレキギターを彫っていた。急になまずを彫ってしまった事をすごく後悔したが、分かったのだ。彼はギターをしていたことが。

音楽の話が出来なくて、流行歌の話をする同級生たちに、わからないまま相づちを打つ僕にとって、ロックの話をする事が出来る、唯一の友人をこうして見つけたのだった。

お互いのギターを見に、家に自転車で走り、宝物であるギターを自慢し合った。当時、ギターの効果音を作るエフェクターは高価だったので、一緒に作ったり、音楽雑誌を回し読みしたり、そうそう、年越しを僕の部屋でギターを引いてマンガを読んで過ごしたこともあった。

こうして書き始めると、忘れていた事を思い出していく。だらだら書いてしまいそうだから、ここらでやめる。これは僕がきた道のわずかな話。

彼が生きていても、この先会う機会があったかどうかわからない。だが、いなくなってしまった事で、この話をこんな風に公開しても、これは僕だけしか意味を持たない話になった。

自分の話の価値に共有できる人を持っている。歳とともにそういう人が増えて行く、そんな人がこの世に存在することが自分の幸せであることの一部分だった。
彼の死がそう思わせたのは皮肉というものだろうか。孤独だったろう彼を偲んでこの話を書いてみた。
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by glassroom | 2006-09-29 22:47
2006年 09月 25日

プリミティブな衝動

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奮い立たせて始めて見れば、だんだんとそらたのし・・・・

はるか昔の人が作ったモチーフを使って作ってみたりしているが、これが結構楽しい。
はるか昔の人たち、絵をただ楽しく描いていたのがよくわかる。
これで賞をとるぞ、とかこれで儲けてやるだの、びっくりさせてやるぜ、なんて下心が全然ない絵。
描いてみると描きたい欲求に動かされている手が、絵に共感する。
ああ、この絵を描いた昔の人はおんなじ気持ちだったろうな、とか勝手に思ってる。

うーん、楽しい。


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by glassroom | 2006-09-25 22:13 | サンドブラストの事
2006年 09月 20日

着火

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夏に入る頃、窯の火を消す。
この時、心の底からせいせいする。
ガラスなど、見たくない、考えたくない。

解放される喜び。
緊張から解き放たれ、何も考えなくてもいい喜び。
その喜びを髄の髄まで味わい、それゆえ何も考えず、開放感に浸る。

火をつける。
点火の瞬間、正直なところ苦痛だ。
なんでこんな事を仕事にしてしまったのか、すこし考え直さなければと思うほど。

火をつけて、僕にも火をつけて・・・
コンピュータ制御の窯のように、僕の温度も順調にあがる訳ではない。
窯はガスで燃えている。
だが僕は石炭のように火がつきにくい。

着火しにくい僕は、最近ようやく点火した。
がーっと忙しいと、楽しい。
ガラスが綺麗だ。
ガラスって美しいとか思っちゃう。

・・・・これぞ腐れ縁というものだろう。

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by glassroom | 2006-09-20 21:44 | 日々の出来事
2006年 09月 15日

秋近し

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スズシクナリマシタ・・・・・

お茶の消費量がぐんと減ってきて、お菓子が増えた。(笑)
秋ですなあ・・・・

セミの声がしなくなり、虫の声がする。
秋ですなあ・・・

寝る時には涼しくて気持ちいい。
秋ですなあ・・・

子供の運動会のお知らせ?
秋ですなあ・・・

秋の作品展?
秋・・・・・ああ〜、季節よ、逆戻りしてくれないかなあ。
今度は僕の宿題が。
息子の夏の宿題を叱ったのは記憶に新しいところ、が、大きな声じゃ言えないが、僕もね。
もうね、ヤバいの・・

誰か助けて!
さ、涼しくなったから頑張ろ!

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by glassroom | 2006-09-15 20:50 | 日々の出来事
2006年 09月 03日

無題

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自分がしっかりとした大人になっている、という確信がないので、「見かけ上の大人」であるということにして話を進める。

自分が大人になるまでの時間は、自分で想像しているより遥かに早くやってきてしまった。
その早さはまさに想像を絶していて、自分の年齢がまるで成虫になった昆虫の殻のように自分にまとわりついていて、中身はまださなぎのような未成熟なものであるようにいつも感じている。

だが、そうじゃないんだ、中身までこんな年齢なんだと思い込もうとするたびに、時間の短さと自分の動きの鈍さに頭を抱えてしまいそうになる。
ああ、もっと早く動かねば時は刻々と過ぎてゆく・・・・

だから焦っている。
焦れば焦るほど、時間は虚しく空を回り、どんどんと過ぎて行く。
そうだったんだ、時間は早いんだ。
自分がその流れを掴めぬ事への焦りが、毎日の時間をより加速させて、日々は更に短くなっていく。


夏休みの終わり、娘とプラネタリウムを見た。
スクリーンに投影された光の点々を眺めるうち、宇宙はいつからあるのだろう、どこまであるのだろう、とただ漠然とひたすらに考えていた子供の頃を思い出した。
あの頃は、僕の時間は宇宙のように無限で、僕はいつまでも子供だった。
きっと来るであろう大人の時代は僕にとって宇宙を考える事と同列の事象だった。

子供は、どちらがいいのだろう?

子供は、僕がそうであったように、子供の時間に生きるべきなのだろうか。
僕は大人になってしまったから、子供にとって宇宙のように遠い大人の時間を、近づけて見せてやるべきなのか。それが「大人の務め」なのだろうか。
子供は時にまったく違う時間を生きている。

僕の時計の秒針を、ほら見てみなさい、こんなに早く動いてる、お前の時計は幻なのだと言い渡すのが正しいのか、それともどんどん早くなる僕の時計をひた隠し、お前の時計は自分の腕についている、と言うのが正しいのか。

どちらが子供にとって幸せなことなのだろう?
そんな事は僕だけの話だったのか?
この歳でもさっぱりだ。


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by glassroom | 2006-09-03 01:11