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2006年 03月 31日

子供の時間

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時間の隙間を見つけて自宅で整理も少ししてみる。
娘の入学式はもうすぐだ。部屋を作ってやらねばならない。
溜まりに溜まったものたちをあっちへ動かし、こっちへ動かす。

工房にあるモノたちは全て僕が自分の意志で持っているものだから、取捨選択の判断が可能だけれど、子供のものになるとこれがさっぱり分からない。
おもちゃの棚に増え続け、やがて溢れ出し、隣のスペースを浸食し、それでも外へこぼれるモノたち。えーい捨ててやろうかと手に取るものの、ひょっとすると大切な宝物だったらどうしようと思ったり。
何だか分からんイソギンチャクみたいなゴムのボールだの、鎖のちぎれたアクセサリーだの、これはどーするのといいたいものばかり。

ふと手にしたままごとみたいな器から、さらさら、からからと音をたてて貝殻だのサンゴ、そして乾いたドングリが転がり出てきた。

旅行先の海辺で拾ったサンゴと貝殻。
散歩で集めたドングリ。
娘はどちらも手に乗せては喜んでいたけれど、そういえば最近触っていないので見る事も無かった。
娘もこれらのものを忘れているかもしれない。

大人の僕が感じている少し前の事も、新しいものをどんどん吸収している子供にとっては遥か彼方に過ぎ去っている事なのだろう。新しいものたちが過去を深い地層へと沈めていって、この貝殻は子供の記憶に浮かび上がるかどうか分からない。

けど、これはそーっと残しておこうかな・・・・僕にとっては昨日の出来事なのにね。


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by glassroom | 2006-03-31 00:02 | 日々の出来事
2006年 03月 29日

じっと手をみる

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久しぶりの更新。

なんだか忙しい。気がつくと3月が去ってしまう。どうしよう・・・
こうなるとガラス屋の手はどうもひどい事になってしまう。
紙リンという濡れた新聞紙でガラスを直接触るものだから、燃えた紙が炭になって手の皺に入り込む。

じっと手をみる。
働けど働けど・・・という台詞が出てきそうだ。
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by glassroom | 2006-03-29 00:08 | 日々の出来事
2006年 03月 22日

長屋の花見

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えー、今でこそレジャーといやあ、旅行だヒコーキだってんで、猫も杓子も海外へ行くようですが。一昔前は旅行といやあ高嶺の花。ましてや海外なんて夢のまた夢。
ま、せいぜい花が咲いたと言っては花見に出かける程度だったものでございます。

「え?我が家も旅行だあ?」
なんでも今行かないと全員のスケジールが合わない?子供にスケジュールだあ?
冗談言っちゃあいけない。子供にスケジュールも好きなジュースもあったもんじゃ・・あれ、ずいぶんと忙しいねえ、おい。う〜ん、じゃあ行くか!

てなわけで、早速旅行の準備とあいなりましたがさあ大変。
なにが大変って自慢じゃないが、この家族、計画性もヘチマもありゃしない。風の向くまま気の向くまま、今日寝るところは何処かいな、ってなもんだい。
おっと、今日は寒いね、こりゃ。
じゃ、南に行きますかってえわけで行ってみると、なんだこりゃ、異国みたいなお宿じゃねえか。

おうおうおう、こう見えたって江戸っ子よ。(京都だろ)こんな嘘っぱちの建物にだまされるかい!!だいたいなんだ?すぺいんだあ、ここは日本じゃねえかい。どういうこったい?
わかんねえな、ご隠居に聞いてみるか。・・・トントン。
「おう、ご隠居教えてくんな」
「なんじゃ、やぶからぼうに。お前はいつもそうやっていきなり尋ねる」
「まあいいじゃねえか、ところでご隠居、かくかくしかじか・・」

「おまえさん、古典落語で長屋の花見ってのを知ってるかい?なに、知らんのか、よくおきき。」
で、ご隠居さん話だす。

「長屋の連中が花見に行こうって話になってなあ。けど連中、花見の酒も、卵焼きも買えやしない。で、お茶を酒に、たくあんを卵焼に見立てて花見を楽しむことにしたというわけだな。」

「え、でもご隠居、そりゃあ無理だ。味が違いますぜ。」
「見立てじゃよ。嘘は百も承知。無粋な事は言いっこ無し。楽しくやろうやってことだな、つまり。」
「ふーん、そういうもんですかい」
「若いお前にゃわかるまい、おまえもしぶ〜いいっぱしの大人になりゃあわかるわい。」


てなやり取りが僕の中に一瞬きらめいて日本人らしい見立ての遊びと、そしてお金持ちになった日本は、もはやこんなにリアルな町並を簡単に作れる事に驚嘆した。
そしてつかの間の異国を楽しんだのだった。

あ〜、楽しかった。

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by glassroom | 2006-03-22 23:51 | 日々の出来事
2006年 03月 17日

寂しさ

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娘の卒園式があった。

こちらの幼稚園には長男もお世話になったので6年間子供だけでなく、送迎や行事の機会ごとに僕たち親も通い続けた。
そんな幼稚園とも今日でお別れ。僕もここへ来ることはまれになるだろう。

ここはカトリックで御聖堂と呼ばれる小さな教会がある。築50年の古い建物にはステンドグラスの窓と教会の空気がちゃんと閉じ込めてある。
ヨーロッパの街をふらふら歩くと、崇高で、緻密で、しかし威圧的なステンドグラスを持つ教会にしょっちゅう出会うが、そんな西洋の教会に比べ、ただの色ガラス窓とでも言いたいような質素で野暮ったいここのステンドグラスは、素直で邪心のない信仰心を表すようで僕は嫌いじゃない。

僕自身は特定の信仰を持たないけれども、精神性を持つ空間に幼い頃出会う体験は大切だろうと思う。原風景は人を形成する上できわめて大切なものだろう。
そんな空間に静かに聖歌が流れる中、証書を受け取る小さな手と顔は、子供なりの真剣さで緊張している。

娘はこれから段々と僕の知らない時間を持ち始めることだろう。そして僕の知らない世界を少しずつ模索していかねばならない。
願わくば、このステンドグラスのように素直に、実直に成長をしてほしいと願うのだが。

卒園式は僕たちから離れていきますよ、その準備ですよ、という儀式のように思え、自分の通ってきた数々の卒業より遥かに募るものがあるのだった。


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by glassroom | 2006-03-17 22:45 | 日々の出来事
2006年 03月 17日

ちなみ号

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味気ない写真で許してほしい・・・
格闘中だから。

奇才作家、故中島らも氏がエッセイで自分の楽器、キーボードに名前を付けて可愛がっている、という文章を読んだ記憶がある。ペットならともかく、楽器に。
さすがらも氏だ。


掃除機を家から工房へ持ってきた。家の掃除機は最新にして、古い方を工房用とした。
なぜか僕はこいつを「ちなみ号」と呼ぶ事にした。あまり記憶にないが、これはひょっとしてらも氏がキーボードにつけていた名前かもしれない。「ちなみ」などという知り合いもいないのに、なぜこんな名前が浮かんだのか自分でもよくわからない。

いままで家でカーペットやフローリングの上をすいすいと走って、家のホコリだの小さなゴミだのを吸い込むことが仕事だったちなみ号。
なのに工房に来ていきなり荒いコンクリートの上をげこげこ走らされ、吸い込むゴミもガラス片だの耐火物の硬い粒といったモノになってしまった。
いままで9時出社、5時退社、仕事はお茶汲みとコピーがいきなり某国の強制労働所に入れられ、重い荷物を運ぶような苦役が仕事となったちなみ号。

ちなみ号には「ごみ信号」という緑に光る小さなランプがある。ゴミを吸い込むとランプは赤色に変わる。
家で使っているとき、時々このランプが赤くなった。一度通ったところをもう一度吸い込むと、ランプは緑になった。「奇麗にしたわよ。」と控えめに報告してくれるのだ。

ところが工房で使ってみると、赤いランプがパカパカ点滅する。家で使っていた時には見た事のない表示だ。まるで食べた事のないご飯を思いっきり飲み込んでのどに詰まらせてウゴゴゴっと目を白黒させているようだ。
僕は思わず叫ぶ。(心の中で)
「がんばれ、ちなみ号!」

するとちなみ号はやがて諦めたように緑のランプをまたたかせる。「あなた・・・ひどい」
やや申し訳ない気持ちになりながらも、ホウキで掃除するより100倍楽な、そして不憫なちなみ号を頼り、今日も掃除をしている。


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by glassroom | 2006-03-17 00:43 | 日々の出来事
2006年 03月 14日

二進も三進も(にっちもさっちも)

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「もう、どうしようもないのよ。」
ドキ。
「どうしていいか分からないと思う。」

答えは息子の部屋。
学校のプリント、塾のプリント、マンガだのカードだの、もう泥棒が暴れたような様相の部屋を自分でどうしたらいいのか、分からなくなったようで、それを見ている妻はハラハラしながら僕に訴える。

しかし。

言われてドキドキしたのは僕の方だ。


工房をスタートさせて6年目。始まりはとてもシンプルに。ガラスが溶けているだけの工房も、少しずつ物を買い足しているうちにだんだんと散らかってきた。
道具、工具、メンテナンス材料、ガラス材料、作りかけの作品、加工機・・・当初予想していたもの達はドンドンとその数を増やし、その都度棚に無造作に放り込んでいたツケがここへ来て限界に達している。

なんとかせねば。

物を整理すると、今度は仕事がお留守になってしまう。
でも、整理をせずにほったらかしにしておくと、今度は仕事の能率が著しく低下する。最近、仕事→整理→仕事が整理→仕事→整理→整理→整理→仕事みたな動きになってきた。
仕事の効率は頭も環境も整理してからでないと。
どうしよう・・・

そこへきて工房だけでなく、今度は娘の小学校入学を目の前にして、家で娘の部屋をなんとかせねばならない。
手を付ければまたアレが始まってしまうのは目に見えている。
しかし。

やるか・・・そして一念発起でついにパンドラの箱を開けてしまった。
家と工房、両方が相手だ!

そんな訳で今、格闘中。
恐ろしい事が起こっています。


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by glassroom | 2006-03-14 12:02 | 日々の出来事
2006年 03月 11日

イメージバトン

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仕事の哲学 仕事のオキテ」のfebruary_keiさんからイメージバトンというものを受け取りました。
一つの言葉から連想される言葉をブログ上でどんどんつなぐというやつですね。

1:お受けしたキーワード   「生命」

今までの流れを見てみますよ。
「イギリス」→「オースティン」→「サイケ」→「色」→「風水」→「融合」→
「文化」・「アメリカ」・「決断」→「海」→「ストレス発散」→
 「自分へのちいさなごほうび」→「ゆとりの時間」→「私のちいさなとっておき」→
 「家族」→「元気の素」→「S・W・E・E・T」→「夢」→「色」→「元気」→「光」 →
 「アングル」→「気持ち」→「空気」→「空」→「明日」→「生命」

つながってますね・・断ち切ったらどうしよう・・・

2:お渡しするキーワード  「偶然」
あまり解説はしません。ご想像にお任せしてみようと思います。

3:渡してくれた人へのメッセージ
いつも僕のぼやきを暖かい視線で見守ってくださっているように思います。そしfebruary_keiさんのブログを拝見すると、仕事と、ご自身の生き方に対しとても真摯に向き合っておられるなあといつも感心してしまいます。(ひょっとして仕事をご一緒すると、厳しいかも・・・と考えたり)
これからもよろしくお願いします。そして美しいキーワードをえらくひねた言葉にしちゃってゴメンなさい。

4:バトンをお渡しする3人

どうしよう・・・・あまりバトンとかした事無くて、不慣れです。
あれこれ考え頭の中に選考委員会を立ち上げ、候補者絞り込み会議をしたのですが、会議は物別れに終わり、お開きになりました。
よって、この記事を読んでいただいた誰か、名乗りを上げて続けていただければとおもいます。
って、こんなのダメですか?
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by glassroom | 2006-03-11 23:48
2006年 03月 07日

刹那

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前回の記事でコメントをくださったちゃこさんに返事を書かせていただきながら改めて感じた事を。

ガラスが一番綺麗な瞬間とは何か。
人によって様々な意見があるけれども、僕はやっぱり「溶けているとき」だと思う。

900度を超える頃からそろそろガラスは溶け、そして熱を溜め込み光を放ち始める。作業が出来るようになる1200度前後になると、ややまぶしく感じてくるほどの明るさだ。
その光は、だが窯から出ると長くは続かない。

清らかな水が、深度を増すと光を透過させながらも紺碧の度合いを増すように、ガラスは厚みを増せば増すほど、巻き取られた瞬間に深い底からまるで夕日を思わせるような深い朱色の光を痛みを感じさせるような熱線とともに目と肌に投げかけてくる。

だが、吹き竿に巻き取られ、ふわふわと揺れながら、重力に従いとろりと落下しようとするその姿は一瞬で、まるで夕日が一瞬のうちに地上の稜線に消えていくように朱色の輝きは透明なガラスの中へと吸い込まれてしまう。

そんな一瞬の変化を目の当たりに出来るのは、残念ながらそのガラスを触ることが出来る人だけなのだ。
まだ何の形でもない、ただの液体でしかないガラスが実は最も美しいのかもしれない。

だが、それが皆さんの目に触れられない片隅でおこなわれている事はちょっと残念であり、またちょっとよいかもしれない。それだけで綺麗だと思われると作る方はやっかいだから。


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by glassroom | 2006-03-07 23:15 | ガラスのお話
2006年 03月 06日

至福の朝・・か?

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日曜の朝。

名作、「ちびくろさんぼ」そして「ぐりとぐら」
子供の頃読んだこの二つの絵本、主役の次に大切なもの。
ホットケーキとカステラ。

トラが木のまわりをぐるぐる回って溶けて出来たバターを使ったホットケーキ・・・・そしてぐりとぐらが森で見つけた巨大たまごで作ったカステラ。
きれいなきつね色のあまーい食べ物、もう食べたくて仕方なかった。

大人になってもそんな思い入れがホットケーキにもカステラにもある。
朝食にホットケーキを焼く。そしてたまたまNHKの番組、日曜美術館を見ると銅版画の作家、長谷川潔の特集をしていた。


この作家の作品にかつて展覧会で出会ったときの衝撃。
それは凛としてゆるぎなく、それでいて静寂の世界が本当に小さな画面の中にあるということ。
大好きな作家の一人である。

ホットケーキを食べながら、長谷川潔の特集を見れるなんて・・・・
ああ、幸せ。

願わくば、息子が「ホント、いい絵だね。」とかなんとかいいながらホットケーキを食べていてくれるとよいのだけれど、隣でなぜか卵ご飯にのりをふり、かっこんでいる。
そしてテレビのアナウンサーに「長谷川とか呼び捨てにしてるし」とかわけわからん突っ込み入れてるし・・・・
あ、卵こぼさないでくれる。
それともうちょっと静かに。

あまり深く考えず、これも幸せだという事にしておこう。


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by glassroom | 2006-03-06 00:12 | 日々の出来事
2006年 03月 04日

のむ

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院生時代の先輩と後輩に会った。
たまーに合って、教育論だの建築論だのを語りながら飲み合う。今回は2、3年ぶりだろうか。既にお二人は教授と助教授になり、学生を指導する立場である。
勿論僕は既に門外漢なので、懐かしさを感じつつ素人としての意見をぽちぽち無責任に放ちながらビールに専念する。だが、お互いの立場は変っても、このスタイルは基本的に学生時代とあまり変わらない。
こうして何回飲んだ事か。

ガラスを始めた頃、この飲み会にはしばらく参加しなかった。建築をやめてガラスを作る事に夢中になっていた事もあるし、京都を離れていたせいもある。それに、会って近況を知ると内心焦るような感覚もあった。

ガラスを始めてみたものの、やはり一方では建築に関しては挫折なんだろうな、と思ったのも正直なところだった。こつこつと論文を積み重ね、キャリアを積んでいく姿を見せつけられるのが怖かったのもある。
その姿に自分が焦りを感じたり、揺れてしまうかもしれないのも心配だったのだ。

今、別に僕は成功を収めた訳でもなんでもなく、相変わらず悪戦苦闘の連続だ。
だが、彼らに会う事になんの躊躇もなく、とても楽しみだ。僕の知らないどんな話を聞かせてくれるのか、久々に会うと本当に面白い。
揺れなくなったのは、年齢から来る諦観というものかもしれない。あるいは完全に別の世界の人として固定したからかもしれない。
それとも、ガラスをいじることに向き合う姿勢がちょっと正されてきたのか・・・理由はよくわからないけれども。

そんなわけで心地よく酔っぱらい、帰路についた。


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by glassroom | 2006-03-04 23:43 | 日々の出来事