あるガラス吹きの徒然日記。

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2006年 02月 28日

華麗なるレース

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リバイバルで脚光を浴びるクイーンの名曲・・・じゃなくて。

ガラスでレースというとそれはレースグラス。
レースは16世紀、主にベネチアで発展した技法。

ここで歴史を簡単に・・・
当時のベネチアでは、火を使うガラスが危険という理由でガラス職人はムラノ島に集められ、そこでガラスを製造する事を義務づけられた。
が、実のところベネチアの当時の主要産業でなおかつ外貨獲得の手段であったガラス。そのガラスの製法に関する技術を秘密にしたかったのがベネチアの本音で職人は軟禁状態だった。それがムラノ島の始まり。

今の先端技術はコンピュータだが、当時は貴族に愛されたレースグラスをどうやって作るか、また綺麗な色をどうやって作るか、全てが謎の先端技術だった。

で、優秀なガラス職人には伯爵のような社会的地位を与え、制作に精進させたのだが、逆に島を出て他の国に逃げたり、機密を漏らしたガラス職人にはベネチアより差し向けられた刺客により殺されてしまった。国益に反するもの、産業スパイには死を、という恐ろしい話。


そんな歴史を持ったレースだけど、その秘伝である作り方はすでに僕でも知っている。
だが、知っているのと作れるのは大違い。
レースを作れるようになるまではえらい時間がかかった。(なってるのかなあ・・?)

レースは簡単に説明すると「色のねじり棒を作り、それを材料に吹きガラスをする」ということ。このねじり棒をどれだけ綺麗に作れるかが「きっちり」した出来になるかを決める。
本場のベネチアの職人は「おまえは機械か!」と言いたくなるほど「きっちり」した形を作り出す。そしてそんなレースの制作風景を見たら、ガラスを作る男子は燃える傾向がある。(なぜ男子か、というと先日の記事、「男の!」を読んでください。通じるものがあるのです)

僕だっていつかはレース。
そんな気合いを胸に秘め、そして知らぬ間にその事を忘れる・・(笑)

僕はガラスをやっているうちに溶けたガラスをゆるりと作るのが好きになった。
で、レースを作ってみても、どうもゆるゆるした感じに仕上げているようだが(単なる未熟?)まあそんな歴史を持ったレースという技術に敬意は持って作っている。
そしてやっぱり作ると楽しく綺麗なのがレースなのだ。

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by glassroom | 2006-02-28 18:20 | 吹きガラスの事
2006年 02月 22日

色について 続編

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サンドブラストのいわゆる「生地」と呼ばれるもの。
自分の考えている絵に合わせて色を配色して作ってみた。
完全に自分の計算通りではなく、やや予定外の部分もあるが。

これから絵を描いて、下絵を生地に合わせ完成させる。そしてマスキングを生地に張って下絵を写し取り、マスキングを切り抜き、サンドブラストを段階的に施し、最終研磨をして仕上げ・・・と実は非常に長い道のりを経て作品にする。

で、今日はサンドブラストの前、この生地を作ることについて。

サンドブラストは絵だから、絵の具のように自由に多数の色を使って絵を作りたいのだが、ガラスの場合、絵の具のようにぺたぺた塗って作るわけではない。
色のガラスを溶かして、この写真の場合は部分部分を色にして、それを吹いて膨らましていく。吹いて玉にしたものを広げてこのようにするわけだ。

色を多層にする方法もあって、前回の色についてでのせた写真は多層に吹いて作ってある。
それに対し今回はゾーンに分けて色を入れてあるのだが、吹く場合にややこしいのは色は「硬さ」がそれぞれある、ということ。

正確に言うと融点が色によって違う。
融点の低い色は他にくらべ早く溶けだす、なので柔らかくなるのが速い。
逆に融点の高い色は長い時間をかけないと溶けないので柔らかくなるのが遅い。したがって硬い。

一つのピースに色々な色がのっていると、同時に熱を加えるので溶け出す順番があるのだ。
緑は柔らかい。
青もけっこう柔らかい。
茶色はかなり柔らかい、でも普通のやつもある。
赤は硬い。

作っている時は竿につけたガラスをぐるぐる回転させているから、遠心力でドンドン形が崩れる。吹いて膨らますと柔らかい色が先に膨らんで薄くなろうとする。
触っていると不自然になるのであまり触らない。でも触らないと直らない。

溶かさないと形を作れない、でも溶かすと形が崩れて行く。
吹きガラスは常にこの矛盾を抱えながら進める作業だ。

色を使っての吹きガラスはその矛盾を一番顕著に感じる。
でも、色はやっぱりきれいだと思うし、やっぱり使いたい。

相反する要素を持ちながらも使いたいと思わせる。
太っちゃうけど食べたい、みたいなやっかいな魅力が色にはあるのだ。


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by glassroom | 2006-02-22 23:48 | 吹きガラスの事
2006年 02月 21日

お味付け

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ガラスという素材はそのものが奇麗なので、それを素材に作る方としてはある意味、やっかいででもある。
やっかいとは素材が奇麗な分、何もしなくてもきれいだということである。ちょうど美味しい食材、例えば採れたての魚は下手にソースなどかけないで刺身で十分というのに似ている。

日本人はうるさい。某インスタントコーヒーのコマーシャルにそんなコピーがあったが、日本人はうるさい、というより多様なようだ。和食、中華、イタリアン、フレンチ・・・でも、多様なようで、それでいて保守的でもある。生のままの良さみたいなものを重視する。そこに価値を見いだす、高尚な言い方をすれば哲学みたいなものを持っている。
他の分野でも同じようなことがいえるのかな。

吹きガラスの技術はもっぱらヨーロッパで発展した。だから色々なテクニックがあるものの、そこから出来上がる形にはヨーロッパ的な思想というと大げさだけど、そういった匂いみたいなものがある。
そこで日本人の味覚にあう料理をしようと日本のガラス吹き達は色々工夫する。
でも、ヨーロッパの味覚も悪いものでもない。で、欧州風日本みたいな発展もしたり。

なので多様で保守的な舌の持ち主に対して、多様で保守的な技術を磨く必要があるのかもしれない。時に素材を生かし、時にソースをかけて。
う〜む。

まああんまり考え込んで手が動かないと今度は何もできないんですけど。


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by glassroom | 2006-02-21 23:20 | 吹きガラスの事
2006年 02月 20日

男の!

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僕は「男はこうでなくてはならない。」とか、「女はかくあるべき。」とかいう考えはあまりない。別に男でも女でもその人が望むスタイルで生活していればいいと思う。
・・・などと冒頭から構えてみたが、そんな大きな話ではない。

そんな僕でもこいつは違う!ってのはあるのだ。
お店。男の店!

男の店!って書くと、アヤシイところを思い浮かべてしまった人はハズレです。
男の店!それはホームセンター。そしてその内のある領域。
園芸とか、家庭用品とか、そういったのじゃないよ。工具売り場&パーツ売り場。
工具、そしてネジだの、細かいパーツになると圧倒的に男の独壇場。この売り場にはたいてい男しかいないような気がする。
そして道具、というものに妙な喜びを感じるのは大抵男だ。

メンテナンスパーツを買いに、ホームセンターでネジを見ていると隣のおやじ、身じろぎもせず仁王立ちでボルトをにらみつけている。
しばらくすると、妻らしき女性が来て話しかける。
「ちょっと、お鍋も見なあかんから、はよして。」
「ウルサイ!ネジ間違えたら門扉がつかへんやろ。ちょっとあっちで探しとけ!」
おお、おやじ、夢中だ。おやじ、その後工具を手にとっては、とっかえひっかえ。電動ドライバーが欲しいようだ。そこへ妻が来る。
「ねじ回し、あるからええやんか!もう、はよ行こ!」
もっと見たい・・おやじの心の声が聞こえる。
が、後ろ髪ひかれつつおやじは去っていった。

男3人組。
どうやら仕事らしいが、親方らしき人が若い男と熱のこもる話し合い。急に部品が足りなくてホームセンターで補充か。
「これやったら通るかなあ・・・」
「ちょっと苦しいんちゃいます。」
「ねじ切ったらええかあ・・そんでこいつ被せてしもたらええやん!」
「あ、それやったらいけますねえ。」

仕事やったら仕方ないけど、えらい熱の入れようや。
でもその気持ち、分かるえ。なんか必死になってしもて、ついでに工具とか欲しなるもんなあ・・・

この気持ち、女子にはわからへんやろなあ。
・・・ん、熱が入ると関西弁。


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by glassroom | 2006-02-20 18:35 | 日々の出来事
2006年 02月 17日

色のこと

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10年近く前に作ったもの。
屋根裏整理をしていたら出てきた。当時は師匠のご指導の元、色々作っていた時期でこれは師匠には見せることなくこそっと作った。これは僕の!って感じで自分の絵を描いていたつもりだけど、今見るとやっぱり師匠の教えを色々守っている部分が見えて面白い。

この絵を見てもらうとお気づきかもしれないが、これは不透明の色を使っている。光を透かさない色。なのでサンドブラストには向いていない色だ。
段彫りという方法でのサンドブラストは色の層を削り、濃淡を出すことによって絵を浮き出す。なので色が透過しないとグラデーションが出ないのだ。

昨日のアップした写真の色は透明色といって光を透かす色。この色はグラデーションを作ることが出来る。でも透明色でも発色の強さというのがあって、綺麗なグラデーションが出来る色と、そうでない色もある。ちなみに昨日の写真の青は発色が薄く絵がぼけやすく、オレンジに見える色(実は茶色)は発色が強すぎて絵がパッキリしすぎる。
このあたりが難しいところだけど。

この写真の作品はやや色の選択ミス。それを無理矢理サンドをして作っちゃったのは、当時、お皿をまだ上手に作ることが出来なかったから。せっかく作ったお皿、もったいないから、って彫ったことを覚えている。

作るときはおお〜って興奮してるのに、終わるとああ〜っ修行が足らん、って次にとりかかる。当時は特にその幅が大きかった。
その幅は縮まっても、そんな感覚は続いている。そんな繰り返し。


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by glassroom | 2006-02-17 22:31 | サンドブラストの事
2006年 02月 16日

のりこなすもの

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本当はサンドブラストで使うガラスの色について書くつもりで撮ったけど、ちょっと思うところあって別の話題で。

オリンピックをテレビでやっている。スキー、ボード、スケート、様々な競技を見ていて思う。
競技者はなぜ、それに熱中しているのか?
スポーツに熱心でない僕が想像で書かせていただく。
動機は別にして、初めは乗りこなすことが出来ないものを自分の力で乗りこなした時、快感を感じる、そしてもっとこの乗り物を乗りこなしたいと思う。そして征服感と達成感を得て、さらに自分の実力を客観的に知りたくなり競技へと進む。とまあそんなところだろうか。

自分の力で乗りこなしたい欲求、それはどんな人にでもある。スポーツの能力が無いものは機械の力を借りて、バイクや車などで自分の意思のままに、思う方向へ、速度で進んでみたいと思う。これは出来ればシンプルに機械の助けも使わず、自分の肉体でするほうが、よりその人の達成度は満たされるだろう。

コンピュータで制御された快適な現代の高級車より、時に自分でこぐ自転車の方が気持ちいいことは多々ある。また、バスや電車に乗っていると乗っている人は楽だし、外の景色が見えるけれども自分でコントロールできない乗り物は全く別の感覚だろう。
きっと全てについてそれは言える。

ただ、自転車でもスケートでもその他諸々でも、肉体と精神を日々鍛えていないと楽しむどころか、苦痛でしかない。
わかっちゃいるけど、ついつい今日も僕は車に乗り込んでしまうのだ。
・・・・まあガラスを作ることくらいは達成度を高めたいと思っているけれども。


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by glassroom | 2006-02-16 23:35 | サンドブラストの事
2006年 02月 16日

丁稚のすすめ

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ある学校から求人票が来た。僕を雇ってくれるのかなと思ったら(なんで雇ってくれるねん!)学生を雇ってくださいというのだ。


工房を初めてすぐ、窯を作る過程で僕はえらい災難にあった。災難、という言葉が適当かどうか分からない。それには僕とそれに関わりをもった人々の事を書かねばならないから詳しくは書かない。
とにかく失敗だった。
その出来事は、僕が100%悪かったわけではないのだが、今思えば僕の無知と軽率な行動が招いた結果の出来事だった。

書きたいことは、その失敗話ではなく、こんな失敗は「丁稚」をしていれば防げただろうな、ということだ。丁稚とはまた古い言葉だが、あえてこの言葉を使うのには、研修とか修行よりこの言葉の方が僕の思いに近いような気がするからだ。
丁稚奉公は主に昔、貧しい農家の子供などが大きな商家などへ口減らしに住み込みで働きに出された制度だが、これは実践の仕事を覚えるのにとてもいい制度だっただろう、と勝手に想像している。


僕は色々な学校に行った。学校で学んだ事は「作る者としての性根」、いわばコンセプトを明快にすることだ。組織に属して世間が要求する何かを作るのではなく、世間から見ればどうでもいい独り言のようなものを一人で作り続けるためのもの。
一人で小舟を漕ぎだすための羅針盤のようなものを学校で見つけ出したような気がするのだ。
でも、「日々の過ごし方の技術」のようなものは学校では皆無だった。そしてそれは丁稚で培うことができるのでは、と思うのだ。

ガラス工房なんて分野はちゃんとした会社に就職とか、きちんとした月給なんてものはほどんどない。どこかの工房へ就職、という感じではなくて、足で行って、見て、合って、なんとなく居座るようになだれ込む。そんな勤め方が多い。求人票を出して、見ての世界ではない。

そんな風になだれ込むように、その工房で丁稚になる。
丁稚をすることで、泥臭い、肌で感じる日々の技術やカンを伝えてもらう事ができれば、僕のトラブルはひょっとしたら回避できたかもしれない。と、まあそんな風に思うのだ。


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by glassroom | 2006-02-16 00:40 | 吹きガラスの事
2006年 02月 15日

ローマは一日にして・・・・

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今日は工房へ出てから言葉を発する事も無くすごした。正確にはくだらないセールス電話が2本ほど、それ以外は一人ですごし来客もなかった。
作るものは苦労した。アイデアが浮かばず、七転八倒。苦しかった。(現在進行形)
先日のドタバタで屋根裏の整理がまだつかないから、その続きもした。掃除機をかけて、箱から作品を出して整理して・・・・昔のガラスをちょっと並べる。

工房を作った最初の年はここにはなにも無く、とりあえず吹きガラスの設備を作っただけの空間だった。水道の流しを作ったり、配水管をつなげたり、壁を貼ったりしていたら年が暮れた。
使い勝手を考えて、試行錯誤をして窯や設備の改造を毎年した。陶芸のろくろを改造してダイヤモンドの研磨盤をつくったり、吹きの道具を作ったり。
去年は部屋を増築した。床に流すコンクリートを算出して、軽自動車に計1tのコンクリートと砂利を何度も分けて運んでそれを練って、床に流しへとへとになった。

毎年、作りたい作品を作るため、作るための環境を作り出すことから始めなくてはならない。ガラスを作る技術は勿論大切だけど、それをするための環境がなくてはそれはできない。
だから、自分で作る。
あまり賢い方法ではないなと思うけど、そうしないと納得できない。だからいろんな事がのろくなる。今年の環境整備計画もすでにあるが、もう4年越しの計画だ。

人に任せて自分の思い通りのものが出来ないと、ストレスになる。
一人で抱え込み遅々として進まない様々な事も、ストレスといえないこともない。(でも実は楽しんでいるかも・・・)
自分が10人くらいいればさぞかし仕事が進むだろうけど、自分が10人いたらちょっと嫌だ。

思考が散漫だったのでくだらないことばかり思ってしまう。
・・・・・アイデアが浮かばないわけだ。


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by glassroom | 2006-02-15 00:21 | 日々の出来事
2006年 02月 13日

おさかなはすき

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ガラス学校にいた頃、課題のアイデアスケッチを先生に見せた。花器を作ろう、と思い表面にはサンドブラストで魚の絵を描くつもりでいた。
先生はアメリカ人で、僕の絵を見ると即座にわずかなため息と共に言った。

「魚、魚・・・なんで日本人は魚なの?」
・・・って言われても。

陶器のお茶碗や器類を見ると、確かに魚をモチーフにしているものが多い。
日本人は魚を沢山食べる。それをのせる器に魚の絵を書いてしまうのは、まあ当然というか、自然な事だろう。
日本人は魚を食べるのも鑑賞するのも好きなのだ。

って、言いたかったけど、英語でそこまで説明できなくて、むむっと黙ったことがある。
でも僕の場合は魚っていっても、やや擬人化してるんだけどなあ・・・


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by glassroom | 2006-02-13 17:57 | サンドブラストの事
2006年 02月 11日

2月は・・・

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昨日のドタバタでホコリが舞い上がり、僕の鼻からは古い水道のように鼻水が流れっぱなしになった。おかげで昨日から湯水のごとくティッシュを一箱使い切り、森林破壊に加担してしまったじゃないか。
まるで花粉症・・・ん、花粉症かな。
そういえば今日、生徒さんも調子悪いって言ってたしな・・・

ふと見るとガラスが輝いて・・研磨のせいでピカピカなのではない。光に強さが出てきたのかな。
春を待ち望み、そしてちょっと焦る。
ああ、お仕事お仕事。
今月を逃がさないように。来月が去ってしまわないようにしなくては。


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by glassroom | 2006-02-11 00:35 | 日々の出来事