あるガラス吹きの徒然日記。

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2005年 11月 29日

花の結晶

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工房の入り口にミモザアカシアがある。
工房を作ったときに植えたものだ。初めはひょろひょろで、えんぴつみたいな太さだったけど、今は数センチまで幹を成長させている。
「えらいもん植えたなあ・・・すごい大きくなるで」
近所のおっちゃんは言った。植木などを扱っている人だから詳しい。僕は何も知らなかったから、へーと気のない返事をしていたのだけど、確かにこいつの成長は早く、今ではしょっちゅう枝を剪定してやらないと、狭い工房へ出入りする車の邪魔になってしまうようになった。

春にこの木は5mmくらいの黄色い花をつける。
幹一杯に無数に咲くその花で木が黄色くなるほどだ。そして今年は夏の終わりから秋にかけて、まるでアカシアの花が蝶になったのかな、と思うほど同じ色をした蝶が沢山この木から飛び立ち始めた。
黄色い小さな蝶。
モンシロチョウの黄色いやつ。キチョウというのかな。

今朝、入り口のコンクリートに、ぺちゃっとへばりつくようにこの蝶が落ちていた。
拾い上げると、まだ生きていた。
あまりに寒そうな感じがして哀れだったので、裏の日だまりに持っていきそっと置いてみた。だが、すこし間をおいて見てみると、地面に伏せてすでに小さな命はなくなっていた。

「冬になるんやな・・・」
ちょうど工房に流しっぱなしのラジオが、冬型の低気圧の到来を告げていた。

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by glassroom | 2005-11-29 21:40 | 日々の出来事
2005年 11月 28日

高揚と抑制

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ガラスを完成形にもっていくまでにはストーリーがある。

溶けたガラスを窯から取り出し、形を作り火で暖め吹き・・・
一つ一つの作業のどれが抜けても次へは進めないし、一つの作業をいい加減に終了させる事は出来ない。そんな事をすると、必ずそこから横道にそれてしまい、美しい最終形にはたどり着く事はできない。
だから各々の作業をしっかり考えたいのだけど、その場で考えてから動く時間は吹きガラスの場合まず無い。

作業に入る前にあらかじめ各場面が頭の中で映像化出来ていないと、いざその場面になると手が止まり、ガラスが冷えて変形し、本道に戻るためにえらい遠回りをする事になる。

こんな事を密かに、作る時に感じているものだけど、このドラマは作っている当人しか観る事ができない。そしてこのドラマに感動したり喜んだり、悲しんだりしているのも作っている当人だけだ。
このドラマが美しい終わりに向かっている時、当人は高揚している。
「おお〜きれいやん、スゴイやん、僕って天才!」・・・僕の場合、まあこの程度だが。

そしてこの高揚が危険だ。
各場面を美しく仕上げ、次の場面へと引き継ぐためには何より計画性と冷静さが必要だけれど、高揚はそれを忘れさせる。
だから高揚を抑制する理性が必要となる。

何度も見る。そうすると初めて場面を解析するだけの冷静さが生まれるものだ。
冷静さを生むというのは感動を抑えるということでもある。ちょうど感動する映画を何回も見ると飽きて冷静に観ることができるのと同じように。

結局、感動を抑えることによって、初めて感動するものを作れるかもしれない、とも言える。
随分と意地悪なストーリーだけど実はガラスだけではなく、どの世界でもそうなのかしら、と思いが至るのはガラスを始めてからだった。


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by glassroom | 2005-11-28 00:49
2005年 11月 26日

らくがきちょう

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ずーっと使っているクロッキーブック。まあ落書き帳だ。
もう何冊これを使ったかわからない。
そしていつもこれが手の届くところにないと落ち着かない。
スケッチブックと違ってお値段も手頃だし、構えずに思った事をドンドン描くからドンドン消費する。したがって当然、大したことは描いてない。
内容は・・・

ぽっと思いついたアイデアを書き留める。
スケッチの練習、あるいは絵やデッサンなんてやってみたり。
色とか形といった事を検討したり。
作業工程などを描いてみたり。
修理や作る道具、設備なんかの図面を引いたり。
電話のメモだったりもする。

そんなのが何の脈略もなくわーっと描いてあるから、後で見てもう〜んと唸ってしまう。
だから以前の冊子を見てもなんだかよく分からないし、あまり見る気もしないのだけど。

でも捨てられない・・・そして時々「ん、使えるかも」ってアイデアを発見したりするからますます捨てられない。ほとんどゴミなんだけど。

だんだん、昔の冊子がうずたかく積もって、ホント困るのだけど・・・こういうのはどうしたらいいのだろう。


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by glassroom | 2005-11-26 23:53 | 日々の出来事
2005年 11月 24日

こつこつ

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ぎゃーっと叫んだあなた。ごめんなさい。

工房の軒下をゆっくり進むイモムシ。
こうなってくるとお日様が気持ちいい。そんなことを思うのか思わないのか、イモムシは日だまりの中をゆっくり進む。
僕が作業をしていると、時々床をこんなやつらが横切っていく。
のろまなようで、気がつくとどこかへ行ってしまっている。
案外速い。

今日は一人で制作をしていたのだけど。
なかなか思うように物事が進まず、のろのろしているようで、少しいらいらするけれど、イモムシのごとくこつこつ進むしか目的にたどり着くことはできないようだ。
去っていくイモムシを横目に眺め、ちょっとため息をつく。
君のように全く焦る気配を見せないようになるには、まだまだ修行が必要かな。


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by glassroom | 2005-11-24 23:29 | 日々の出来事
2005年 11月 21日

やがて・・

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景色が冬になってきた。

工房にいると常夏と思われているようだが、それは違う。
冬はすっごく寒い。
なぜかって?

建物は「夏を棟とすべし」という作りになっている。天井と壁の間に10cmほど隙間を作ってあるし、暖房もない建物はただただ寒い。外にいる状態となんら変わらない。
作業をしている時は暖かいのだが、それ以外は本当に寒い。
吹きに入る前、掃除をしたり水仕事をしたりして準備をするのだが、寒さでだんだん手の感覚が無くなってくるほどだ。

吹きを始めるとまず「ああ、暖かい・・」と至福の瞬間が訪れる。そして手に急に血流が増して、じんじんと痺れだす。「ああ、痺れてきもちいい・・」となるわけだ。
そして徐々に動かない手が動きだし、作る事に熱中するころすこしじんわり汗ばむ。
そのころ、上を脱ぎ、Tシャツになり、そしてのどが乾いてくる。
「ちょっと暑いな・・」外からの吹き込む風が心地よく感じる。
やがて体内に蓄積された熱が、たまらんようになって、外で涼む事になる。
「あ、あ、暑い・・・」

というわけで工房の冬は暑い・・・あれ?寒いって話だったんですけど・・
まあ、まだ冬じゃないってことかな。


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by glassroom | 2005-11-21 22:18 | 日々の出来事
2005年 11月 20日

しこう

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子供の頃、フィンガーチョコレートが好きだった。
ご存知の方も多いと思うが一応説明しておくと、金と銀紙に包まれた小指サイズのビスケットにチョコがコーティングしたお菓子。
食べ始めると止まらない。たちまち、目の前に包装紙が積み重なった。
僕はもぐもぐ口を動かしながら、頭がお留守で暇な手はその銀紙を伸ばしたり丸めたり、色々な事をしていた。
あるとき、その銀紙を指に巻き付けて円筒を作りそこからワイングラスの形にしてみた。
我ながらなかなかよい出来だと喜んで、以来もぐもくしながら手でこれを頻繁に作った。


ついさきほど、僕はチーズを食べながら手がその包装紙を丸めて、あの懐かしいものを作っている事に気がついた。
ウン十年経っていてもやる事は変わらない。

20代の頃、当時40代の先輩が僕に言った。
「30代、40代となるにしたがい好みや考えはどんどん変わるよ。」
僕はその時、10代に比べ、20代になって特に思考も指向も嗜好も変わらん。と頭の中に漢字を並べて聞いていた。

ところが今、歳を重ねてきて確かにどんどんとしこうが変わる事をしみじみ実感しているのだが。
だが、この手。
手をとにかく動かすのだ、というしこうは特に変わらないようだ。


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by glassroom | 2005-11-20 22:14 | 日々の出来事
2005年 11月 15日

好きな絵本

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初めに言っておくと、これは名作「ちいさいおうち」という絵本にある絵を模写した。ご存知の方も多いと思う。
模写は練習や気分転換に良いので時々する。勿論、作品として売ったり発表したりはしませんよ。あ、ここに出しちゃったけど。

「ちいさいおうち」の作者はバージニア・リー・バートンという人で、他に「せいめいのれきし」などの絵本がある。僕は両方とも子供の頃から大好きな絵本。
完璧な模写じゃなくて、わりと手抜きに描いたけど、模写すると勉強になるなあ。

手をゆったり自由に動かしてこの人は線を引いているなあ、と感じる。
フリーハンドで線を描くと、だいたい肘や手首など手を動かす支点を中心に円弧の線になる。
だから、建築のエスキスなんかでは線を直線にするため、意識的に円弧に反して描くようにして直線にする。僕も昔、フリーハンドで直線を引けるようによく練習した。

だが、この人の絵はどの絵もだいたい手の動きをそのまま、自由にすーっと動かして出来る線で構成していて、それがまた伸びやかな感じと暖かみがあるんだなあ。
そしてこの本のストーリーも大好き。時代を超えた名作だと思う。


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by glassroom | 2005-11-15 17:05 | サンドブラストの事
2005年 11月 15日

のわわわ!

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週末からちょっと作りたい色があって、今日は試そうと思っていた。
と、吹きのアシスタントよりメール。風邪を引いてお休みとな・・・

ほな、ちょっと他のもん作ってみよ。
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出来た。
ん?・・・・・・のわわわっ!!!

さて、「のわわわっ!!」の解説です。
吹きガラスで作ったものは、出来上がったとき当然だが熱い。
溶けているときは1200度くらいだが、製作中にドンドン温度は落ちてゆき、最終的に仕上がった時には・・温度計を当てている訳でないのでカンだけど多分600度くらいまで落ちているんじゃないだろうか。
で、出来上がったものは、そのまま放っておく訳にはいかない。
と言うのは、モノが熱いときガラスに限らずどんなものも膨張している。水でも、鉄でもそしてガラスでも。
そして冷えていくと膨張したものは収縮する。ちっちゃくなる。

出来たてのガラス、表面から徐々に冷え、そして中まで冷える。
このとき、表面は冷えて収縮していくのだけど中はまだ冷えてないから表面だけ縮んでいく。
つまり中と外で大きさが違ってきてしまうのだ。
どんなものでも、こういう事がおこるけど、例えば鉄などは「粘り」があるから何事もない。(ちょっと曲がるかもしれないけど)
だが、ガラスには粘りがないので、この大きさの変化を急激に起こさないようにしなくてはならない。
これを徐冷という。具体的には作ったものをすぐに冷やすことなく、500度くらいから常温になるまで何時間もかけて冷やしてゆかなければならない。(この時間はガラスの種類と作ったものの厚みで変わります)
そしてこの徐々に冷やす装置を徐冷炉という。

さて、解説終わり。
先ほどの続き。

「のわわわっ!・・・・徐冷炉の電源入れるの忘れたあ〜!」

そして具体的には、あっという間にこうなってしまうのだ。
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by glassroom | 2005-11-15 00:05 | ガラスのお話
2005年 11月 12日

チョコ

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昨日、11日は何の日でしょう。
答え、ポッキーの日。
昨日ポッキーをくれた生徒さんから教えてもらったのだけど、そんなんホントにあんの?
11月11日で、棒が列んでいるからという事らしいが、グリコにこの日をおさえられた森永としては小枝の日を取られたと思っているに違いない。
まあどうでもよいが。

最近、チョコがとまらない。何かあればポイと口に放り込んでいる。
夏はチョコなんて食べると、からからの口にねっとり絡み付いて、窒息するんじゃないかと思われたほどだったのに、寒くなってあら不思議。
そういえば生徒さんもチョコを持ってきて、教室が終わったらつまんでる。

寒くなったら鍋だ、おでんだと冬の味覚が思い出されるけど、チョコも冬の味覚ですなあ。


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by glassroom | 2005-11-12 20:04 | 日々の出来事
2005年 11月 10日

うまくなろう

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冬っぽくなってきた。そろそろ鍋かな・・・

吹きガラスを始めるのに今はガラスの教育機関も、僕のような個人教室も増えたから習う場所を探すのにそれほど苦労はしないだろう。そもそもインターネットがあるし、情報を得る事は実に簡単だ。

だが、僕がガラスを吹いてみたいと思った頃、吹きガラスをしているところなんて皆目分からなかったし、ガラス作家なんて見た事もなかった。
ガラス作家なんて深海に潜む大王イカくらいの数だったのだろうけど、今ドラマで女優がガラス作家の設定で出ているのを目にして、えらくポピュラーになったなあ、大王イカから深海のアンコウくらいのポピュラーさに浮上したのかあ、と認識した。

大王イカは滅多に姿を見せない、そのためその姿を探す者をやっきにさせる。
僕は吹きたい吹きたいと思ってもその姿を目にする事が出来ない分、やってみたいという欲求と探してやるぜという情熱が湧き上がり、初めて吹きガラスを見た時には有頂天になった。
おお、これが溶けたガラスか!
でっかい溶解炉から巻き取られる溶けたガラスを見たとき、もうこれしかない!と興奮した。

あの興奮はどこから来たのか?
してみたいという欲求があったのは確かだが、その希少性ゆえ興奮はより高まったのだろうと今では思われる。

大王イカはアンモニア臭くて食べられないそうだ。だが珍しさで話題を作ることが出来る。
だが、あの頃より確実に吹きガラスの場所は増えている。希少性という要素が無くなった分、アンコウのうまみを醸し出さねば人は見向きもしてくれないぞ、と言い聞かせ仕事をせねばなるまい。


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by glassroom | 2005-11-10 22:55 | 日々の出来事