あるガラス吹きの徒然日記。

glassrooms.exblog.jp
ブログトップ

<   2005年 09月 ( 19 )   > この月の画像一覧


2005年 09月 30日

無花果

d0029974_21361720.jpg

いちじくというくだものを知ったのも、食べたのも、おばあちゃんの家だった。
おばあちゃんの家の庭にはいちじくの木があり、夏から秋にかけて毎日のように収穫されたいちじくは、両親と一緒におばあちゃんの家に訪問した際にどっさりと、冷蔵庫から取り出されることになっていた。

「不思議なたべものだなあ」
それが僕の感想だった。果物というものはだいたい甘酸っぱいのに、こいつはフワフワしていて、酸味はあまりない。でも、とても美味しいし、僕は大好きな食べ物になった。
母の説明によると、実のようなのに中はどうやら花の集合体であるということも「変な珍しいやつ。」という印象を強くした。

おばあちゃんの家は、気持ちいいけど僕にとっては少し退屈な所だった。
おばあちゃんは好きだったけど、ここには子供が好きなおもちゃも漫画もないし、庭もきちんと整備されて暴れるようなことはできない。
おばあちゃんは両親と世間話や用事をしていて僕と遊ぶわけでもなく、手持ち無沙汰なことが多い僕はもっぱらいちじくをほおばったりしていた。


自分の工房を構えた時、建物の横に切り株があった。なんだろう、と思っていたらだんだんそこから枝葉を伸ばし、それはいちじくとなって小さな実を結んだ。
「先生、イチジクは花が無いと書いて無花果だし、縁起が悪い、あまり家に植えるとよくないと言いますよ」などと親切で教えてくれる生徒さんもいたが、いちじくは僕にとってなんだか特別のものなので、切る気にならず、そのままおいてある。
そして、今年もまた小さな実を結んでいた。

工房に無花果が生えたのは、今は亡きおばあちゃんが天国からいたずらしたのかもしれないなあ。時々そんなことを思う。


参加してます。

人気blogランキング
[PR]

by glassroom | 2005-09-30 22:11 | 日々の出来事
2005年 09月 30日

ちょっと

d0029974_1131356.jpg

帆を張った船が、凪ぎに入ったかのように、僕は何も書けない。
でも忙しい、作ってもいる。

家に帰り、いったん寝そべると腕がぱんぱん、頭はじんじん。重力が2Gか3Gになったように体の肉が重く感じる。
でも、充実というにはまだまだ足りぬ。
全く足りぬ。

一日が短い。
体が早く疲れ過ぎるぞ。

もうちょっとなんだけど。
そのもうちょっとが大変だ。
できれば明日はもうちょっと。



参加してます。

人気blogランキング
[PR]

by glassroom | 2005-09-30 01:10 | 日々の出来事
2005年 09月 26日

O(オー)さん

d0029974_2136419.jpg

Oさんは工房にとって大切な人だ。

ガラス工房にとって、何の燃料を使うかというのは重要な問題だ。
重油、ガス、電気、どの燃料も長所と短所がある。僕はプロパンガスを使っている。
プロパンガスはボンベから建物内部に配管を通じて運ばれる。
Oさんは配管工事をしてくれる人だ。

窯を作ったとき、Oさんはバーナーへの接続、工房全体の配管をしていただいた。
僕が窯を作っている横で、Oさんは黙々と自分の仕事をしておられた。
Oさんは必要な事は話すが、それ以外はあまりおしゃべりな事はない。
すこし気難しい人、周りからそういう風に思われているようだ。

そんなOさんだが、僕はなんだかこの人が好きだ。
きっとあまり器用なタイプではないのだろう。電話などはあまり得意ではないようで、こちらに電話をかけてこられたとき、Oさんからしてきたのに、出た途端言葉に詰まったりされる。会社のワンボックスの車にガス管と加工道具をぎっしり積んで毎日移動しておられる。

今日、給湯器の配管を少し見ていただいた。
工房を作っていたとき以来、あまりお会いする機会は無かったが、久しぶりに来られたOさんは前と同じだった。
珍しく色々とお話をされた。僕の窯を見て、そして自分の作った配管を見ておられた。
「あれから、どうですか?」
「問題なく、安心して使ってますよ」
「・・・私が(配管を)やったままを使っててくれて嬉しいなあ・・・」

縁の下の力持ち、決して派手な仕事ではないけれど。
事故があれば大変なことになるガスの配管をしっかり作ってくれるOさん。
僕はOさんが横で仕事をしていると、なぜかとても安心するのです。

今の日本にこういう人、大切な気がする。


参加してます。

人気blogランキング
[PR]

by glassroom | 2005-09-26 22:19 | 日々の出来事
2005年 09月 24日

寸法との戦い その2

d0029974_23385917.jpg

ガラスを寸法通り作るのに問題なのは、手で大きさを作るのではない、ということだ。手で作れば、その大きさになるようにゴニョゴニョいじればいい。
でも、大きさを作るのは「息」だ。

長いパイプの先に風船がついていて、パイプを吹いてその風船を膨らませてタテ20cm、ヨコ15cmにしなさい、といわれたらどうするか。ぷーっと吹いて膨らませてその大きさにする。
触ってはいけない。ちょっと離れたところから見るだけ。

と、まあこういうことだ。
これを作りたい大きさにするには・・・僕の方法。

まず、原寸大の絵かその大きさに開いたゲージを用意する。
それを目が乾燥するくらい見開いて凝視する。
イメージする、大きさを。・・・これはメロンの大きさやな。あ、子供の頭くらい、頭をなでるとこんな感じの大きさ。手を動かして・・その大きさを何も無い空間で動かして、手におさめる。
空間にその大きさをぽっかり映し出せるように何度もイメージ。
それから吹く。

その大きさまで膨らました瞬間にとめる。
「たぶん、この大きさでいい」
そう思ったら、一応確認用にゲージを当てる。
合わなかったら終わり。それは失敗。
小さすぎたらもうちょっと吹いて大きくできるけど、大きすぎたらもう終わり。
吹いてそのまま完成ならいいけど、お皿なんかは吹いたものを広げるから、完成の大きさを合わせるには苦労する。広げた風呂敷の大きさを、包んだ状態を見て当てるような感じ。

そんな作業。

初めのうちは合わなかった。何度やっても何度吹いても。
依頼された一つのピースを仕上げるために、一週間吹き続けて全部失敗したこともある。
でも、人間の感覚はすごい。今ではだいたい思った通りの大きさにできるんだもの。
こういう仕事はアートとはもちろんいえない。そして僕は職人でもない。
なぜするかというと、自分の技術を客観的に見る。それだけだ。
こういう依頼、とてもいい訓練。
でも採算はとれないから、このご時世やっぱりお受けすることには躊躇する。

(これはあくまでも僕のつたないやりかたです。ひょっとすると、みんなもっと賢い方法でしっかり作っているのかもしれないので、宙吹きをしている人がみんなこうだと思わないでね)


参加してます。

人気blogランキング
[PR]

by glassroom | 2005-09-24 23:38 | 吹きガラスの事
2005年 09月 23日

寸法との戦い

d0029974_20491062.jpg

時々、僕の作品などとは関係ないガラスの注文がある。

壊れた照明器具、ガラスのシェード部分を復元してほしい・・・
二つある花器、一つ壊れたので一つ作ってほしい・・・
45mmの口径の金具にシリンダーのガラスを作って・・・

こういう依頼はそのほとんどが寸法や色、厚みなどが決まっている。図面に出来るような内容だ。言うまでもなく、製造業のほとんどは図面を使ってそれにぴったりのモノを作る。
あたりまえだ。図面通りに作らねば、設計通りに仕上がらないし、それであらゆるものが出来ている。
ガラスとて勿論例外でなく、ガラス工場ではデザイナーや設計者が引いた図面を、その通りに制作して結果として製品が作られてゆく。

あらゆる分野、図面通りにモノを作るには「型」を使う。金型が主流。
車のボディー、建築の外壁のテクスチャー、食器、インテリア用品、なんでも型を使う。
金型は大変高価だから、一旦作った金型の制作費をペイしなくてはならない。
商品の利益にその分をのせて生産しなくちゃならないから、オーダーしたらモノによっては一万個くらい制作しなくちゃ元は取れない。


僕のやっている技法はガラスの宙吹きという技法で、型は使わない。この技術が全盛期だったのは14世紀くらいからかな、詳しくは知らないけどとにかく大昔からある、そして現在は「化石」の技法・・・。なので、依頼主の注文の内容が「図面的」であればあるほど難しい。
というか、図面で引けるようなモノの依頼をこなす事は不可能だ。でも、僕はチャレンジ?でそういった依頼を受けていた。依頼は大抵1個か2個くらい。工場なのでは断られた依頼が多い。

こういった図面の内容を作るにはどうするか。
図面を引くには定規を当てる。測りながら作る。
たいていのものを作るには測りながら作れば失敗しない。だが、ガラスには定規をあてることはできない。定規が燃えちゃう。
そして動きを止める事もできない。せめて動きを止めればサイズを測れるが、手をとめたら製作中の柔らかいガラスが、じわ〜んと重力で変形して、落ちていく。

サイズを測るには写真のような鉄のコンパスのようなもので計る。
回している竿に一瞬あてるような感じ。ちょうど皿回しをしている皿を片手で回したまま、もう片方の手でゲージを当てるような感じだ。

これだけなら、まあなんとなくサイズに近づけることは出来そうだが、でももっと困難な問題があるのだ・・・

ああ、長くなりそうだから明日に続く。


参加してます。

人気blogランキング
[PR]

by glassroom | 2005-09-23 21:43 | 吹きガラスの事
2005年 09月 22日

筋力

d0029974_2226562.jpg

学生時代、ウエイトトレーニングにはまったことがある。そんな本格的なものではないが、腕立したり、ダンベル持ったり。
若かったから、お恥ずかしいが筋肉が出来るのが嬉しく、ナルな喜びを感じたのも事実。
おなかの筋肉が段々になり、ふっふっふとほくそ笑むことが出来たのはつかの間だった。

今は脂肪で段々になってるけど。
そう、筋肉は鍛えないとあっという間に萎えてくる。

絵を描いたり考えたりする事も同じこと。やめるとたちまちその力は萎えてしまう。
サラリーマン時代、イラストを描きたいと思っている同期に巡り会い、友人になった。
お互い何かしなきゃ、と意気投合、昼休みの一時間、公園に行き手当り次第にクロッキー合戦をしていた時期がある。
座っている人、鳩を追っかける子供など、あれ!と決めたモチーフを描き合った。
それが功を奏して?彼はイラストレーターになり、僕はガラスを始めた。

そしてガラス学校にいた頃、毎回100枚ドローイングをする授業があった。初めは面倒くさかったけど、やればやるほど面白くなっていき、自分の作品が変わっていくのを実感した。面白かったけど、やっぱりガラスを操る方がメインだから、その授業が終わって自主的にそれをすることはなくなった。

ここしばらく、僕は描く事をしなくなった。忙しいのもあるし、疲れてちょっと面倒になった事もある。そして昔色々描いていたから、描けるようなイメージが残っていた。
でも、最近描けてないなあ、とさすがに自覚するようになった。

焦る。焦る。
怠けたから、萎えてるやんか。あっちこっち。

鍛え直さなきゃならんね。なまってしまっているようだから。


参加してます。

人気blogランキング
[PR]

by glassroom | 2005-09-22 22:49 | 日々の出来事
2005年 09月 21日

ふた

しょうゆ差し、やっとふたを作ってみた。
ガラスの場合、ふた作りって結構めんどくさい。

初めにふたを作っちゃった方が簡単で、あとで口の大きさを合わせた方が楽なのだがその場合、色とかデザインを先に決めておかねばならない。今回は作りながら色も形も決めていったので、どうしてもあとでフタを合わせる作業になった。

フタはきちっとはめないと、しょうゆ差しはもって傾けるのでころんと落ちる可能性がある。口よりほんの少しフタを大きく作って、口に研磨の砂と水を少し。
で、フタと本体をごりごりと擦り合せながらお互いを削り、そして密着させる。
d0029974_2354498.jpg

この作業を「とも擦り」という。
時間をかけてずりずりやっていると、そのうちお互いが磨りガラスの状態で密着する。理科の実験で使うアルコール入れとかのガラス容器の口、あの状態だ。

つるんとした形にしちゃったから、ふたや本体を持ったときつるっと滑ってはいけないので全体にサンドブラストをかけ、表面を荒らす。滑り止め代わり。

これでほぼ完成。やれやれ。
d0029974_23342935.jpg




参加してます。

人気blogランキング
[PR]

by glassroom | 2005-09-21 23:11 | 吹きガラスの事
2005年 09月 20日

ギネス

d0029974_21214299.jpg

ギネスというビールが気になっていたけれど、なぜかあまり飲む機会がなく、飲んでみたいなあと思っていたが、近所のスーパーで発見。
さっそく飲む事に。

でも実は、先日飲んだ。そしてこの時は「失敗」だった。
小さなグラスを使い、夕食時にしかも和食だったのだ。アイルランドのビールに和食はちと合わず。
そして小さなグラスの何がよくないかというと、泡が入りきらないから。泡、命のビールらしい。

この缶、中に工夫があってボールが入ってる。
お前はラムネか、と突っ込みつつ調べると、なになに。
d0029974_21261717.jpg

このボール、泡をクリーミーにする働きがあるとの事、開発費10億円らしい。
泡を大切にするために、全部ビールが入るグラスが必要との事。
で、ギネスを飲むためにわざわざグラスを一つ作っておいたのだ。

d0029974_21273094.jpg

ひたすら真っ黒。そして泡がクリーミー。
ただの黒ビールと思って飲むと大間違い。この味、好き嫌いが分かれるだろうなあ・・・
初めて飲むと、うえって感じ。
でも・・・お約束を守り、全部をグラスに入れこのビールだけを飲むと。
美味しくなりますね、これ。

はまりそうな気配。

ちょっと話はそれますが、ギネスブックって、このビール会社が出した本が始まりだそうで、パブで○○と××どちらが早いかな、といった飲みながらの雑談がはじまりとか・・


参加してます。

人気blogランキング
[PR]

by glassroom | 2005-09-20 21:38 | 日々の出来事
2005年 09月 16日

ルーターあそび

d0029974_1731096.jpg

ちょこっと空いた時間を使ってガラスに落書きをしている。

ルーターというドリルにダイヤモンドの小さなビット(歯医者の削る先っちょみたいなもの)を付けて、まさしく歯を削る要領でぎーぎー絵を描く。
サンドブラストの場合、下書をしてマスキングを切って、はがしてサンドブラストかけてと、えらい手間がかかるので下絵にも時間をかけるし、ガラスも大抵色を何色も被せてこれもまたえらい手間ひまかけて作るから、失敗出来ない。

サンドは思いっきり構えてしまうので、それが筆運びを重くしているところがある。
ルーターはちょちょっと落書き感覚。下絵もなしに、テキトーに描く。

でも気軽な分、ちょっと線が弱すぎて売り物にするにはちと無理かな。
研究してみようかな・・・でも気軽に遊んでればいいかな。

自由に身軽に・・・ちょっと癒される。


参加してます。

人気blogランキング
[PR]

by glassroom | 2005-09-16 17:10 | ガラスのお話
2005年 09月 15日

教えて、工業デザイン!

d0029974_21133632.jpg

秋が来た!
ああ〜涼しい!!それだけで嬉しくなっちゃう。

醤油さしの依頼があったので作っている。
しょうゆ差し、油断はできない。

どんな形とかそういう問題じゃなく。それは僕が楽しんで作る部分。
一番のポイントは注ぎ口だ。
垂れないようにする。これが一番大切。

クラフトとはなにかというと、それは用をなすものだ。自分の感性と人の感動を喚起する、それだけが価値を持つ、アートピースとはすこし違う。僕はアートピースも作るけれど、使うものも作る。
今日の制作はあくまで用をなすもの。作家だから、作品だから、で機能をおろそかにするのは僕は嫌い。これは使うものなのだ。

とはいえ。
醤油さしの注ぎ口、これ難しい。
醤油は水よりすこし粘りがあるからどうしてもわずかに垂れる。片口タイプはよく作ったけど、こういう形、実はあまり作った事が無かったので、注ぎ口研究を今日の課題とした。

僕が参考としたのはキッコーマン卓上しょうゆ
かの有名なGKデザインの栄久庵さんの作。
この卓上醤油の口の角度や大きさを参考に作ってみた。
一つずつ、たれをチェックする。

ようやく出来るようになったけど。
う〜ん、どっさりボツを作っちゃったよ・・・
次はフタ作り。


参加してます。

人気blogランキング
[PR]

by glassroom | 2005-09-15 21:33 | 吹きガラスの事