あるガラス吹きの徒然日記。

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カテゴリ:ガラスのお話( 27 )


2006年 01月 06日

細工

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自分がどのジャンルに属しているのか、あまり興味はない。
アートと言われようと、工芸と言われようと、自分が作ることにおいてあまり変わりはないからだ。
アートと言われたからアートらしく?ということもないし、自分は自分で作りたいように作る。

「吹きガラスをしているんです。」と言うと、
「ああ、ガラス細工ですね。」と言われることがよくある。

ジャンルはまあいいのだけど、この言い方に関しては僕はあまり好きではない。
「細工」という言葉には「手を使って細かなものを作る」、という意味と「策略」というどちらかと言うとちょっとマイナス的な意味がある。
根幹は放って、表層をいじる事によって取り繕う、というようなニュアンスもあるような気がする。

たとえば陶芸をしている人に「粘土細工ですか?」というと明らかに侮蔑的なニュアンスを含む言葉になる。けどガラスに対してはあまりそういう意識は持たれない。
勿論、ガラス細工と言った人は悪意があるわけではなく、そういうジャンルとして何気なく言っているわけだが。

で、この話はもうちょっと続く・・・・


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by glassroom | 2006-01-06 13:09 | ガラスのお話
2005年 11月 15日

のわわわ!

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週末からちょっと作りたい色があって、今日は試そうと思っていた。
と、吹きのアシスタントよりメール。風邪を引いてお休みとな・・・

ほな、ちょっと他のもん作ってみよ。
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出来た。
ん?・・・・・・のわわわっ!!!

さて、「のわわわっ!!」の解説です。
吹きガラスで作ったものは、出来上がったとき当然だが熱い。
溶けているときは1200度くらいだが、製作中にドンドン温度は落ちてゆき、最終的に仕上がった時には・・温度計を当てている訳でないのでカンだけど多分600度くらいまで落ちているんじゃないだろうか。
で、出来上がったものは、そのまま放っておく訳にはいかない。
と言うのは、モノが熱いときガラスに限らずどんなものも膨張している。水でも、鉄でもそしてガラスでも。
そして冷えていくと膨張したものは収縮する。ちっちゃくなる。

出来たてのガラス、表面から徐々に冷え、そして中まで冷える。
このとき、表面は冷えて収縮していくのだけど中はまだ冷えてないから表面だけ縮んでいく。
つまり中と外で大きさが違ってきてしまうのだ。
どんなものでも、こういう事がおこるけど、例えば鉄などは「粘り」があるから何事もない。(ちょっと曲がるかもしれないけど)
だが、ガラスには粘りがないので、この大きさの変化を急激に起こさないようにしなくてはならない。
これを徐冷という。具体的には作ったものをすぐに冷やすことなく、500度くらいから常温になるまで何時間もかけて冷やしてゆかなければならない。(この時間はガラスの種類と作ったものの厚みで変わります)
そしてこの徐々に冷やす装置を徐冷炉という。

さて、解説終わり。
先ほどの続き。

「のわわわっ!・・・・徐冷炉の電源入れるの忘れたあ〜!」

そして具体的には、あっという間にこうなってしまうのだ。
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by glassroom | 2005-11-15 00:05 | ガラスのお話
2005年 09月 16日

ルーターあそび

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ちょこっと空いた時間を使ってガラスに落書きをしている。

ルーターというドリルにダイヤモンドの小さなビット(歯医者の削る先っちょみたいなもの)を付けて、まさしく歯を削る要領でぎーぎー絵を描く。
サンドブラストの場合、下書をしてマスキングを切って、はがしてサンドブラストかけてと、えらい手間がかかるので下絵にも時間をかけるし、ガラスも大抵色を何色も被せてこれもまたえらい手間ひまかけて作るから、失敗出来ない。

サンドは思いっきり構えてしまうので、それが筆運びを重くしているところがある。
ルーターはちょちょっと落書き感覚。下絵もなしに、テキトーに描く。

でも気軽な分、ちょっと線が弱すぎて売り物にするにはちと無理かな。
研究してみようかな・・・でも気軽に遊んでればいいかな。

自由に身軽に・・・ちょっと癒される。


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by glassroom | 2005-09-16 17:10 | ガラスのお話
2005年 09月 01日

火上げ

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今年は涼しい、なんて思ってたら9月に入った今日は急にムシムシ。
昼は相変わらず麺。今日は梅干しそば。
久々にガラスを撮ったら露出失敗しちゃった・・

温度もようやく1000度を超えてどうやら火上げも無事にいきそう。
この火上げ、結構難しいもので、今はさして心配もなしに出来るようになったが、最初のうちはもうハラハラで、夜も寝られない作業だった。

温度制御は基本的にコンピュータまかせ。
だからホントは僕が手を出さなくても勝手に温度が上がるのだが、どう上げるかというプログラムは自分で作らなくてはならない。
前、坩堝の話を書いたけど、この坩堝も結構面倒なもの。
坩堝は1000度を超えるまでに色々な物質が化学変化を起こす。そしてその時、坩堝が異常に膨張したりして割れてしまうことがある。
一般的は800度くらいまではものすごく注意して温度を上げなくてはならないと言われる。階段を上がるように、温度の踊り場をいくつも用意して、全体の温度を均一にしながらの作業。急激な温度上昇はできないのだ。

理想的には時間をかければかけるほど、いい状態になるのだが、時間をかけるということはそれだけ不経済ということになる。なので、時間をかけずに、でもほどよい状態に温度を上げなければならない。
窯は、通常1200度くらいで稼働しているので、そのあたりを標準として設計している。だから300度くらいをゆっくり上げようとしてもバーナーのパワーがあるから、温度が勝手に上がってしまうのだ。
普段、サーキットで走るセッティングのバイクで30キロ以下で走れといわれるようなもの。

これを上手に制御するには、僕は空気とガスの混合比を手で変えながらプログラムに沿うようにする。空気が多すぎると下手をすると火が消える。また、ガスが多すぎると不完全燃焼をおこして煤が出て、下手するとこれまた失火の原因になる。

このあたり、マニュアルはない。
工房によって、窯のタイプは違う。ガスを使うところもあれば、電気を使うところや石油のところもあるし、窯の形、坩堝のタイプと全ての窯が違うので、他は参考にならない。
つまり、自作の窯を持っている人はみんなそれぞれノウハウを持っていて、そのノウハウはその人しか通じないことが多い。
専門業者の作った窯であって、同じ設計でもその場所やガラスの種類などの条件が変わってくるとノウハウは変わるので、一概にはいえない。
なので、自分の窯を持ったときは、データを取りながらの作業で、火上げが始まるともうお坊さんの修行みたいに工房にこもって何日も動けなかった。

まったく。
ガラスを吹くのも難しいけど、こっちの方がよっぽど神経つかうわい!
さて、そろそろ温度のチェック時間かな。


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by glassroom | 2005-09-01 13:25 | ガラスのお話
2005年 08月 25日

大切なモノ

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新しい坩堝(ルツボ)がやって来た。
これが来ると、もう逃げられないぞ、と言われているようだ。
坩堝が無いと、窯に火を入れることはできない。
と、自分に言い訳が立つのだが、これが来ちゃうともうそれはではできない。
サア、働け働け・・・・と。

僕の使う坩堝は職人さんが手で作るオーダー品。
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僕のオーダー品であることが分かるように、ちゃんと僕の名前も刻み込んである。

こういう他の人があまり知らない特殊なモノを、それも僕だけのモノを手に入れると、なんだかちょっとだけ「フフン!」って気分になるのはなぜ?
別に誰も知らないのにね。

溶けた状態のガラスは浸食性があって、ちょうど雪に水をかけると雪がさーっと溶けていくように、溶けたガラスがつくと窯の材料は溶かされていく。
その浸食性に対抗して、約半年踏ん張る坩堝には絶対的な信頼が必要だ。
僕らの仕事を根底で支えている坩堝は僕の気を引き締める。

ゆるゆるの顔、引き締めて!
ビールでたるんだおなか、引っ込めて!
さてと、やりましょか。


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by glassroom | 2005-08-25 23:42 | ガラスのお話
2005年 07月 26日

骨まで愛して

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ガラスをしています、と言うとよく「ガラスって何から出来ているのですか?」と質問される。
なので、ちょっと原料の話を。
と言っても、僕は化学畑の人ではないので、簡単にね。

ガラスの主原料はけい砂というもので、これにアレコレと混じってる。ハイ、終わり。
え、ものたりない?

ではもうちょっと・・つっこまないでね。答えられないから(笑)
けい砂とは、けい酸を主成分にして、ここに僕の使ってる材料の場合、ソーダや石灰など、またこれらがちゃんと溶けて溶解するためや、溶解するときに発生する泡などを取り除くためのものが加えられている。

上記のものが混じった状態で出荷される原料を「バッチ」という。
バッチは、白いさらさらした砂みたいなものだ。
このバッチを1300〜1400度にすると溶けてガラスになる。

吹きガラスをしている工房では、大抵このバッチを仕入れて溶かしているわけだけど、僕は「カレット」というものを買っている。
カレットとは、これらの材料を溶かして既にガラスになった状態のものを、砕いて石ころくらいの大きさにしてあるものだ。

トップの写真がそのカレット。
僕はこのカレットを窯に入れて溶かす。忙しいと2日ほどで溶かし、そうでもないときは一週間くらいおきに入れたりする。
入れ方は全部鉄で作ったスコップにがらがらと積み上げて、耐熱手袋をしてスコップから窯に放り込む。溶かすために普段より温度を高くしておくので、放り込むときはわずかの時間でもめっちゃ熱い。


このカレット、僕にとってつまりただの材料なわけだが、これでも綺麗だったりする。
やっぱり材料が綺麗ってのはそれだけで強みだし、作る側にすれば難しくもある。

窯に放り込むのも忘れ、しばし材料を眺める・・・・


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by glassroom | 2005-07-26 16:45 | ガラスのお話
2005年 07月 04日

やってみたいが

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吹きガラスでは曲面を作る、と前に書いた。なので平面や直線は使わないとも書いた。

これとは別に、キャストやカットという技術がある。
これはガラスの鋳造と、それを削ってぴか〜っと平面や直線を出す技術。

吹きが、おおらかというか「まあ、こんな感じかな・・」と作っていくのに対し、カットは計算というか、アイデア、構成、そして仕上げに対してどこまでも追求したくなる。
吹きが演繹的に展開するのに対し、カットは帰納法で思考するという感じ。
乱暴に言うと、吹きはまあなるようになる、って考えてて、カットはまず答えありき的というか・・・もちろんこれは人にもよるが、キャストとカットの勉強をしている時、僕はそうなった。

じゃあ、なんでそういう風になるのか。
これは出来たモノの形もさることながら、その技法によるところの違いが大きい。
机上でデザインを繰り返し、光の屈折やどのくらい透過するかを考え、ガラスを見ては削り、削り、段々研磨を繰り返し光らせていく作業は、もう本当に根気との闘い。

僕はダメです。
キャストで出来たガラスは本当に綺麗なのだが・・
綺麗、ゆえに僕もやってみたいと何度も思うのだが・・・

学校で習って、いくつか作ったが、どうにも合わない。
僕はやっぱり、大体こーかな、とか言って吹いて、その場で終わらせてビール飲むのがたまらん(笑)
そういえば、吹きガラスやってる人は酒飲みがおおいような。
タイプが似ているのかしら。それとも、やっている内にその職業に性格が矯正されていくのか・・どっちだろう。


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by glassroom | 2005-07-04 18:14 | ガラスのお話