カテゴリ:ガラスのお話( 27 )


2010年 06月 30日

もう少し

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梅雨。
工房のあじさいも咲き誇る。
雲の切れ間から時々日の光が出て、その瞬間だけかーっと暑くなる。あとはじとじと。
でも光がまだ少し弱い。

もう少し光が強くなると、透明が威張りだす。
あともう少し。
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by glassroom | 2010-06-30 20:37 | ガラスのお話
2009年 10月 08日

主役か脇役か

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吹きガラスというのは、字のごとく吹いて膨らませたガラスの事だ。
吹いたら中は空っぽになる。
その空っぽの中身に何かを入れる。そして入れたこの「何か」がこのガラスを手にした人にとっての主役になる。
お茶を入れる、ビールを入れる。
お花を入れる。
料理を入れる。

だから、ガラスは主役の魅力を最大限引き出す名脇役だとよい。
その答えを求めていくと透明というのは、なかなかの名脇役だ。
主役と名脇役、どちらを作るのか。
どちらも面白い作業だけれど・・・
そちらの答えは難しい。
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by glassroom | 2009-10-08 11:09 | ガラスのお話
2008年 12月 20日

冬でも・・・

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日本ではガラスというとどうしても夏のイメージがつきまとう。
事実、器では春から夏までが勝負のようなところがあるし、特に透明なガラスになるともう夏しかないような感じなってしまう。

でも、冬の透明ガラスもそれはそれで良い。
暖かくした部屋で、氷のようなガラスを見ていると、僕はより「自分は暖かい所に居る」という感覚が増してくるような気がするのだ。

・・・ちょっと変かな。

暗い世相をしばし忘れて、小さな炎を見つめる。そんな時間も良いかもしれない。
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by glassroom | 2008-12-20 14:56 | ガラスのお話
2008年 07月 10日

素材

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時々、ガラスの仕事をしたいんです、といって人が訪ねてくることがある。すでにガラスの勉強をしている人はともかく、経験が無い人に対してつい言う事がある。
それは作る作業、技法が自分に合うかどうか、そして一番大切な事は素材に魅力を感じているか。つまりガラスというものが好きか、ということが大切なのではないかということ。
自分の体験からかそんな事を言ってしまう。


僕が子供の頃、住んでいた土地に遺跡が多くあり、母もそんな遺跡を巡るのが好きだったせいで、僕も考古学的なものが好きだった。そこで僕は黒曜石(こくようせき)という石を知った。
黒曜石は割ると鋭利な割れ方をして、石器時代の刃物として矢じりやナイフとして使われていた。石のくせに、時にはやや透明で光を透過する、不思議な石だ。
硬く、割れた跡はガラスそのものだ。
僕はこの石が好きだった。
ある遺跡で、おそらく古代人がのこぎりのように使った一部と思われる黒曜石のかけらを拾った。拾った時はすごく興奮したことをよく覚えている。


今、ガラスのかけらを使って、作っているものがある。
そのかけらを眺めたら、まるであの黒曜石のかけらそっくりだった。あの石をもっと透明にしたら、きっとこうなる・・・・

案外、こんなところがスタートだったのかしら。
ガラスのかけら。
なんだか懐かしく手の中で転がした。
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by glassroom | 2008-07-10 22:26 | ガラスのお話
2008年 04月 17日

学校

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ガラスを作る、というのは元々職人の世界だ。
職人が工場や工房で製品を作る。だからその技術の訓練はその職場に入って「師匠」という人からみっちり学んだようだ。
師匠の持つ技を仕事をしながら盗む、師匠の技術を受け継ぐ。

僕はそうした経歴を持っていない。
芸術系の学校ばかり色々行って学んだ。今はそういう人の方が多いと思う。
学校はみっちり技を磨く場所ではない。技法や技をとりあえず情報という形の知識で学ぶ。教えてくれるのは「先生」だ。そして学校は短い時間しかいられない。
自分の技にするにはそこからスタートという感じになる。

先生のお一人から展覧会の案内をいただく。
沢山の先生に教えていただいたのだな、と思う。
ちょっと遠くなったそれぞれの学校や先生方、そして生徒だった自分を思い出した。
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by glassroom | 2008-04-17 22:59 | ガラスのお話
2008年 04月 02日

狭量な奴

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十人十色というだけあって、人には色々ある。
融通の利かないタイプも入れば、柔軟性のある人もいる。

例えば融通の利かないタイプだと人付き合いではどういう事がおこるのか。
相手の事を受け入れない、絶対自分の尺度でしか受け入れないという態度をとると、相手との関係はヒビが入って、やがて壊れてしまうに違いない。

できるなら、自分の意志をしっかりと持ちつつも異なる相手を広い度量で受け入れるような人でありたいのだが。

さて、ガラスの話だが。

ガラスは1000度ほどあれば、大変柔軟な奴で、グニグニ、にゅ〜んと軟弱な奴なのに、冷えるともう全然融通が利かない。カッチコチな奴に変身してしまう。
お熱い時には軟弱で、誰でも平気で受け入れる。(ただし相手が燃えない場合のみだが)そのくせ、冷えてくると段々こいつは収縮なんて事をする。

冷えてしまうともうだめだ、相手も冷えて縮むけど、同じ大きさまで縮んでくれないとガラスは許さない。いたって狭量なガラスは相手を受け入れず、結果としてヒビが入り粉々だ。
だから、溶けたガラスに石を入れてみたり、鉄を入れようなんてどだい無理なのだ。それどころか、仲間であるはずのガラスでさえ受け入れない時もある。ちょっと成分が違うだけなのに・・・

ちょっと使った事の無いガラスを使う事になったので、僕はこの狭量なガラスどものお見合いをするはめになった。同じガラスのくせに、色が違うだけで相性が悪いかもしれないなんて、本当に面倒な奴らだ。

写真は透明とお見合いを待っている色達。
十人十色は楽しいけれど、頼むから喧嘩とかしないでね。
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by glassroom | 2008-04-02 00:46 | ガラスのお話
2008年 03月 23日

ふらふら

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吹きガラスの場合、作る時はガラスが柔らかい。
だからガラスはいつもゆれゆれふらふらと揺れている。いや、正確には重力に従い垂れようとしているわけで、僕は常にそれを阻止して思うがままの形にしたいと望み、手と身体を動かしている。

たまには手をとめて、じっと作る対象を見つめ、形を吟味など出来ればよいが、そんな時間は作る時に与えられない。流行のゲームに瞬間視力みたいなものがあるが、作る時はそんな風に判断するしかない。ゆっくり吟味して作れないのは他の分野に比べハンデと言えるだろう。

でも、さすがにガラスを相手に大分経つので、作る時の忙しさには慣れた。そしてガラスが柔らかくゆれゆれしていることにも慣れた。慣れたけど、やっぱり肉体労働・・・

ゆれゆれのガラス相手に僕はふらふら・・
とまあそんな感じか。
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by glassroom | 2008-03-23 22:15 | ガラスのお話
2008年 03月 20日

意外な縁

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工房の周囲が枯れ草色から緑になると、春になったなあと思う。
地面が緑でもりもり盛り上がってくる。

クローバーはいい。

嫌な花粉を振りまかないし、大きくなってもそんなに背を高くしない。花も白くて可愛いし葉っぱも可愛い。おまけに四葉を探すなんてこともできる。
クローバー、和名シロツメグサ。
この草、日本の雑草だと思っていたがヨーロッパからの帰化植物とのこと。園芸研究家、柳宗民の著書によるとこの草、江戸時代にオランダから持ち込まれ、そのタネを蒔いて日本に広まった。

この草は当時ガラスを運ぶ際のパッキングに使われたとの事。今みたいにプチプチのようなクッションが無い時代、ガラスが割れないように入れたこの草。
シロツメクサの「つめくさ」は詰め草だったのだ。
そうか、ガラスのパッキングだったのか・・・・

今は雑草として工房に生えるこの草、昔々ガラスのせいで運ばれた。
意外な縁でつながるクローバー、ますます愛着が湧いた。
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by glassroom | 2008-03-20 23:39 | ガラスのお話
2008年 03月 16日

どっちがいいか

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久々に休み。
妻と息子が外出したので娘と二人で過ごす。
お昼になり、あまり食材が無かったけれど、ありあわせを使ってご飯を作る。
外に出て食べる事も考えたが家で作る方がいい。だいたいそういう結論になって僕は作る。

なぜ作る方がいいのか、とふと考えた。
妻が不在で、たまの休みなんだからちょっと外で食べたら楽なのに。
でも、自分でつくる。

外へ出て自分のイメージしたものが満足に食べられたらいいけれど、もし外れたらと考える。ああ、せっかく家から出て、お金を払ってまで食べたのに、ちょっと違った・・・そうなったらすごく後悔する。
自分で作ったら思った味を作れなくても、失敗しても自分でやったのだから仕方ないと納得できる。

ちょっと大げさだけど、そんな思いもあって、僕は作る。

そんなわけで、仕事も全部自分でやる。人に任せて自分のほしいものは出来上がらないから。で、かなり引きこもって何でも自分でやっている。

ただ、ご飯に関しては娘による味のチェックという厳しい審査があって、仕事に関してはもちろん皆様の厳しいチェックがあって、どちらも大変だ。
そして何より、快心の出来だと思えることが自分であまりないのが辛いところ。

今日のご飯の評価に関しては娘に合格をもらえたが。
ただの焼き飯だけど・・
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by glassroom | 2008-03-16 21:28 | ガラスのお話
2007年 07月 11日

日々思うこと

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ガラスは1000度を越えてようやく液体になっていく。これはこのブログで何度か書いてきた。

僕の工房ではガラスを溶かすためにガスを燃やしている。
石油から作ったガスだ。

溶けたガラスが冷えて固まるまでにガラスに形を与える、というのが「ガラスを作る」作業だ。出来上がったガラスの形は、エネルギーの代償として得たものだ。
貴重な、そして燃やすと二酸化炭素を出す燃料を燃やして作ったガラス。

今のこの世界でこれがどういう事か、いつも考える。
僕の設備なんて、大きな産業レベルで見ると小さいことだ。そんな弁解をしてみても、日々伝わってくる環境に関するニュースと未来を考えると、いつも溜め息が出る。

作る事が大変だとか、難しいとか、儲からないとか、そんな事は大して気にならないのに、貴重なエネルギーを使っている事、それがいつも気にかかる。
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by glassroom | 2007-07-11 23:23 | ガラスのお話