あるガラス吹きの徒然日記。

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カテゴリ:吹きガラスの事( 75 )


2005年 10月 31日

エクストラバージンオイルよん

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妻が外出しているので晩ご飯を作る。
たっぷりのオリーブオイルをニンニクで香りを出して、タマネギを投入。ホールトマトも投入・・・
トマトソースはストックが出来る。時々作るのは僕が担当。なので材料のストックとしてホールトマト、オリーブオイルは常備している。

ところで突然ガラスの話。
ガラスの道具はやっかいだ。何がって、すぐに錆びてくる。製作中は常に水を使うし、そして道具に防錆加工が出来ない。メッキとか、塗装とかできたらいいのだけど、溶けたガラスは高温なので塗装なんてすぐ燃える。
なのでガラスに使うものは全部「素材のみ」だ。鉄、木、紙、など。木や紙は水を浸して使う。

錆が出た道具たち。僕はサンドペーパーで錆を落とし油を引いて仕上げる。初めのうち、油は鉱物系の油を使っていたけど、道具は手に直接つけるものなので植物系にした。まあこれも化粧品に入ってるくらいだからいいか。

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なかなかしっとりといい感じで仕上がった。
ガラスもイタリアンスタイルにしなくちゃだめかしら・・・


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by glassroom | 2005-10-31 22:46 | 吹きガラスの事
2005年 10月 21日

コマとたまごっち

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娘のたまごっち。そして僕のコマ。
コマは僕の子供の頃からのもの。年季が入っている。

両者には決定的な差がある。
独断で言うならばコマは文化でたまごっちは文明だろうか。
どちらがいい、悪いの話ではないけれど。

コマを回すには一応マニュアルのようなものがある。それは親や兄弟、友達などから口と身振りによって伝えられる。ひもをこう巻いて持ち方はこう、こういう風に投げる・・・
一応の技術の伝播が済んだら、後は言葉にならない部分を次の人が作る。
戦うためにはもうちょっと芯を短く、とか微妙に手首を使うといい、とか。
しかもそれは全てのコマに応用できる訳でなく、自分のものだけだったり、フィールドの条件によって投げ方を変化させたりという判断を迫られる。経験の蓄積によりどんなコマが有利か、どんな投げ方がいいのかが蓄積して次の世代に伝えられてきた。

一方たまごっち。
携帯からダウンロードしたアイテムを通信で本体に送り、様々な遊びを楽しめる。アイテム、キャラクターは多種多様なので、書店で売られているマニュアル本を買わないと、この小さなゲームの能力を知る事は出来ない。
こちらも勿論、ユーザーのデータを参考に、次世代の開発をして飛躍的に進化、伝播するのかもしれない。だが、ユーザーは開発者の意図から外れたところでは遊ぶ事はできない。
今はやりの「想定内」のみでの遊びだけのようだ。
そしてコツやノウハウは仕様が変われば使えない。全般的な傾向などは応用がきくかもしれないが、細かいコツはこの機種のみの世界での話だ。

コンピュータが生まれて、この世界は変わった。
コマは「古代〜コンピュータ前まで」というカテゴリーの歴史文化博物館に押し込められ、実質的価値を失った。
価値が無いから、作る人も使う人もあまりお金や仕事に縁がないだろう。
コンピュータは現代の価値そのもの。だからそれに携わることにより、お金やビジネスが生まれるのは当然だ。

吹きガラスでモノを作るのにマニュアルはない。コマと同じ。
吹きガラスは言うまでもなく、文化博物館の中にある。

そして、僕はコマを回す事が出来た爽快感を忘れることが出来なくて、未だに「コマの回し方」を人に伝播しようなどとしているのだ。
たまごっちが何より好きだったら、今頃六本木ヒルズに住めたかもしれないのに・・・
わけないか。


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by glassroom | 2005-10-21 22:27 | 吹きガラスの事
2005年 09月 24日

寸法との戦い その2

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ガラスを寸法通り作るのに問題なのは、手で大きさを作るのではない、ということだ。手で作れば、その大きさになるようにゴニョゴニョいじればいい。
でも、大きさを作るのは「息」だ。

長いパイプの先に風船がついていて、パイプを吹いてその風船を膨らませてタテ20cm、ヨコ15cmにしなさい、といわれたらどうするか。ぷーっと吹いて膨らませてその大きさにする。
触ってはいけない。ちょっと離れたところから見るだけ。

と、まあこういうことだ。
これを作りたい大きさにするには・・・僕の方法。

まず、原寸大の絵かその大きさに開いたゲージを用意する。
それを目が乾燥するくらい見開いて凝視する。
イメージする、大きさを。・・・これはメロンの大きさやな。あ、子供の頭くらい、頭をなでるとこんな感じの大きさ。手を動かして・・その大きさを何も無い空間で動かして、手におさめる。
空間にその大きさをぽっかり映し出せるように何度もイメージ。
それから吹く。

その大きさまで膨らました瞬間にとめる。
「たぶん、この大きさでいい」
そう思ったら、一応確認用にゲージを当てる。
合わなかったら終わり。それは失敗。
小さすぎたらもうちょっと吹いて大きくできるけど、大きすぎたらもう終わり。
吹いてそのまま完成ならいいけど、お皿なんかは吹いたものを広げるから、完成の大きさを合わせるには苦労する。広げた風呂敷の大きさを、包んだ状態を見て当てるような感じ。

そんな作業。

初めのうちは合わなかった。何度やっても何度吹いても。
依頼された一つのピースを仕上げるために、一週間吹き続けて全部失敗したこともある。
でも、人間の感覚はすごい。今ではだいたい思った通りの大きさにできるんだもの。
こういう仕事はアートとはもちろんいえない。そして僕は職人でもない。
なぜするかというと、自分の技術を客観的に見る。それだけだ。
こういう依頼、とてもいい訓練。
でも採算はとれないから、このご時世やっぱりお受けすることには躊躇する。

(これはあくまでも僕のつたないやりかたです。ひょっとすると、みんなもっと賢い方法でしっかり作っているのかもしれないので、宙吹きをしている人がみんなこうだと思わないでね)


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by glassroom | 2005-09-24 23:38 | 吹きガラスの事
2005年 09月 23日

寸法との戦い

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時々、僕の作品などとは関係ないガラスの注文がある。

壊れた照明器具、ガラスのシェード部分を復元してほしい・・・
二つある花器、一つ壊れたので一つ作ってほしい・・・
45mmの口径の金具にシリンダーのガラスを作って・・・

こういう依頼はそのほとんどが寸法や色、厚みなどが決まっている。図面に出来るような内容だ。言うまでもなく、製造業のほとんどは図面を使ってそれにぴったりのモノを作る。
あたりまえだ。図面通りに作らねば、設計通りに仕上がらないし、それであらゆるものが出来ている。
ガラスとて勿論例外でなく、ガラス工場ではデザイナーや設計者が引いた図面を、その通りに制作して結果として製品が作られてゆく。

あらゆる分野、図面通りにモノを作るには「型」を使う。金型が主流。
車のボディー、建築の外壁のテクスチャー、食器、インテリア用品、なんでも型を使う。
金型は大変高価だから、一旦作った金型の制作費をペイしなくてはならない。
商品の利益にその分をのせて生産しなくちゃならないから、オーダーしたらモノによっては一万個くらい制作しなくちゃ元は取れない。


僕のやっている技法はガラスの宙吹きという技法で、型は使わない。この技術が全盛期だったのは14世紀くらいからかな、詳しくは知らないけどとにかく大昔からある、そして現在は「化石」の技法・・・。なので、依頼主の注文の内容が「図面的」であればあるほど難しい。
というか、図面で引けるようなモノの依頼をこなす事は不可能だ。でも、僕はチャレンジ?でそういった依頼を受けていた。依頼は大抵1個か2個くらい。工場なのでは断られた依頼が多い。

こういった図面の内容を作るにはどうするか。
図面を引くには定規を当てる。測りながら作る。
たいていのものを作るには測りながら作れば失敗しない。だが、ガラスには定規をあてることはできない。定規が燃えちゃう。
そして動きを止める事もできない。せめて動きを止めればサイズを測れるが、手をとめたら製作中の柔らかいガラスが、じわ〜んと重力で変形して、落ちていく。

サイズを測るには写真のような鉄のコンパスのようなもので計る。
回している竿に一瞬あてるような感じ。ちょうど皿回しをしている皿を片手で回したまま、もう片方の手でゲージを当てるような感じだ。

これだけなら、まあなんとなくサイズに近づけることは出来そうだが、でももっと困難な問題があるのだ・・・

ああ、長くなりそうだから明日に続く。


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by glassroom | 2005-09-23 21:43 | 吹きガラスの事
2005年 09月 21日

ふた

しょうゆ差し、やっとふたを作ってみた。
ガラスの場合、ふた作りって結構めんどくさい。

初めにふたを作っちゃった方が簡単で、あとで口の大きさを合わせた方が楽なのだがその場合、色とかデザインを先に決めておかねばならない。今回は作りながら色も形も決めていったので、どうしてもあとでフタを合わせる作業になった。

フタはきちっとはめないと、しょうゆ差しはもって傾けるのでころんと落ちる可能性がある。口よりほんの少しフタを大きく作って、口に研磨の砂と水を少し。
で、フタと本体をごりごりと擦り合せながらお互いを削り、そして密着させる。
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この作業を「とも擦り」という。
時間をかけてずりずりやっていると、そのうちお互いが磨りガラスの状態で密着する。理科の実験で使うアルコール入れとかのガラス容器の口、あの状態だ。

つるんとした形にしちゃったから、ふたや本体を持ったときつるっと滑ってはいけないので全体にサンドブラストをかけ、表面を荒らす。滑り止め代わり。

これでほぼ完成。やれやれ。
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by glassroom | 2005-09-21 23:11 | 吹きガラスの事
2005年 09月 15日

教えて、工業デザイン!

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秋が来た!
ああ〜涼しい!!それだけで嬉しくなっちゃう。

醤油さしの依頼があったので作っている。
しょうゆ差し、油断はできない。

どんな形とかそういう問題じゃなく。それは僕が楽しんで作る部分。
一番のポイントは注ぎ口だ。
垂れないようにする。これが一番大切。

クラフトとはなにかというと、それは用をなすものだ。自分の感性と人の感動を喚起する、それだけが価値を持つ、アートピースとはすこし違う。僕はアートピースも作るけれど、使うものも作る。
今日の制作はあくまで用をなすもの。作家だから、作品だから、で機能をおろそかにするのは僕は嫌い。これは使うものなのだ。

とはいえ。
醤油さしの注ぎ口、これ難しい。
醤油は水よりすこし粘りがあるからどうしてもわずかに垂れる。片口タイプはよく作ったけど、こういう形、実はあまり作った事が無かったので、注ぎ口研究を今日の課題とした。

僕が参考としたのはキッコーマン卓上しょうゆ
かの有名なGKデザインの栄久庵さんの作。
この卓上醤油の口の角度や大きさを参考に作ってみた。
一つずつ、たれをチェックする。

ようやく出来るようになったけど。
う〜ん、どっさりボツを作っちゃったよ・・・
次はフタ作り。


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by glassroom | 2005-09-15 21:33 | 吹きガラスの事
2005年 07月 26日

ちょっとしてみました

先日の水の飲み方について、色々コメントを頂き、その中でコメントを頂いたゆかさんがトップの写真のピッチャーにサンドを!と言われたのでちょっとしてみました。こういうときって、トラックバックを使うのかな・・まあいいか。
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これが、サンドをする前の状態です。僕はこれで完成にしていたんですけど・・・


で、サンドをしたら。
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こんな感じです。
なんか、ご意見を頂いてやってみるって事は面白いですね。

作品をああしてみては、と言われるの僕は嫌いじゃないです。するかどうかはわかりませんが・・・
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by glassroom | 2005-07-26 16:44 | 吹きガラスの事
2005年 07月 20日

売る

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僕は人気作家とはいかないが、ガラスの作品を作って売っている。
初めて売れたとき、それはそれは嬉しかった。まだガラス学校に通っている頃のこと。

みんなで百貨店のコーナーに期間限定で出してもらえる、って言われてとりあえず作った物を出してみた。
いざ、出品しようとしてみると、あちこち気になる。立ちが悪いのではないか、キズがある・・・いろんなところが気になって気になって、あれもダメ、これも出せないと右往左往した。
結局まあこれならいいか、って出した花器2点、売れてお金をもらうことができた。

ガラスを始める前は、僕はサラリーマンだった。
毎週、週の始まりに部長が売上げを読み上げた。大企業だったので億単位の数字が毎週毎週売れていた。そこから僕の給料も出ていたわけだが。

売れたガラスの値段はそういう会社のお金からは比べようもないものだった。
でも売れたこと、うれしくてうれしくて。

写真は、売れた時と近い時期の作品。悪戦苦闘の跡が一杯で、これはお見せ出来るものでは無いけれど、今は作ろうとしても作れない一品。


教室展で生徒さんに自由に値段を付けてもらっている。売らなくてもOK。
最初に売れた生徒さんに、売れたよってメールを送ったら、「うれしい!」って返事が返ってきた。そうそう、それですよ。儲けるためじゃないからね。


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by glassroom | 2005-07-20 19:35 | 吹きガラスの事
2005年 07月 07日

はずかしながら

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昔読んだ本の中で、なぜ勉強をするのか、という問いに対して評論家?作家?の立花隆が書いていた。

それは自分を知りたい、という根本的な欲求によるものだ。
それは見当識を得るためだと。

見当識、というのは自分が「どこ」にいて、「あなたはだれ?」で「今はいつ」かを問いかけることだ。これは病院で患者さんの意識レベルを計るための質問だそうだ。
立花さんはこれを拡大解釈してどこ?ということを、ではそれは宇宙のどこ、という定位はできるか?誰という問いは本質的には無限の説明がいるではないか。今はいつ、も人間は時間の本質を分かっているのか、という事を書いている。

科学者はこの問いに、自然科学から答えようとするけれども、僕は違う!
なにせアート系ですから・・・

自分がどこにいて、何者で、今はなんだろう?
今のところ、答えはぜんぜんっわからない。

自分のいる位置ってなんだろう・・・さっぱりだ。
自分が何者か、そんなこと分かればこんなことしてない。
今はいつなのか、自分の人生の中での時間を考えるとどうも感覚と実体にズレがある。これまたわからない。

あまり勉強が好きでなかったから、客観的に考えたり勉強して答えを探ることをせずに、ぼ〜っと自分の目に見える世界と、頭の中で見える世界を眺めて暮らしていたら、知らないあいだに、知らないところへ来てしまった。

作ることで何か自分なりの勝手な答えが出るような気がして、こういうことをしているけれども、見当識はどうもはっきりしない。
でも、こんなことしてたらひょっとして・・・わかるかも、ということで日々こんなことしてる。

う〜ん、科学者にはとても恥ずかしくて言えない話だなあ。


参加してます。アート系に・・・

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by glassroom | 2005-07-07 22:25 | 吹きガラスの事
2005年 07月 05日

ぼうる

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昨日の文章を読んだら、なんとなく変だ。
なのでちょっと一部補正を。
吹きが「なるようになる」でキャストが「初めに答えありき」と書いたけど、それは最初の頃の話で、今はやっぱり吹きも答えありき、で作っているようだ。今は仕上がりはやっぱり計算してから作る。


吹きガラスを始めた頃は、作りたい形があってもそこへ辿り着くことが出来なかった。
学校にいた頃、吹きの時間はクラスメートのパートナーがいて、例えば作る前に「おっきくて丸い形、つくりま〜す」てな宣言をして作る。

で、始めるとこれが例えばおっきく丸くでも
・・あまりおっきくならない。・・そして丸くならない。
必死になればなるほど、妙な形になっていく。

苦労してるよなあ・・・というパートナーの視線を後目に格闘するものの、結果小さくて長いものが出来たりして、落ち込んだ。

ある時、吹きの時間の事。
吹きの先生はアメリカ人の先生で、日本語があまり上手ではなかった。というか、ほとんど話せない。
僕はボールか何かを作っていた。
「ソレハナンデスカ?」
・・・・
(ぼーるや、ぼうる!わかるやろ)
と思いつつ「ボールです!」と答えてみる。
と、先生は無言で僕の竿を取った。で、おもむろにガラスを焼いて、作りかけのボールを真っ平らの板にしてしまった。
そして、それを一気にががががっと本当の「ボール」にしてしまった。
(リセットしてから一気に作っちゃったのね・・・)
返す言葉もなく、立ちすくむ僕に竿を手渡すと、去ってゆく先生・・・
なんという屈辱!僕は1時間くらい格闘していたのに・・・5秒で作られてしまった!

当時は、その出来事に打ちのめされたけど、言葉の不自由な先生は、「まあ見なさい」って見せてくれたのだろう、と今は思う。

そのボウル、今は工房の棚の中。
慢心しそうなとき、そ〜っと出して手に取るようにしている。


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by glassroom | 2005-07-05 19:51 | 吹きガラスの事