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あるガラス吹きの徒然日記。

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2008年 07月 10日

素材

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時々、ガラスの仕事をしたいんです、といって人が訪ねてくることがある。すでにガラスの勉強をしている人はともかく、経験が無い人に対してつい言う事がある。
それは作る作業、技法が自分に合うかどうか、そして一番大切な事は素材に魅力を感じているか。つまりガラスというものが好きか、ということが大切なのではないかということ。
自分の体験からかそんな事を言ってしまう。


僕が子供の頃、住んでいた土地に遺跡が多くあり、母もそんな遺跡を巡るのが好きだったせいで、僕も考古学的なものが好きだった。そこで僕は黒曜石(こくようせき)という石を知った。
黒曜石は割ると鋭利な割れ方をして、石器時代の刃物として矢じりやナイフとして使われていた。石のくせに、時にはやや透明で光を透過する、不思議な石だ。
硬く、割れた跡はガラスそのものだ。
僕はこの石が好きだった。
ある遺跡で、おそらく古代人がのこぎりのように使った一部と思われる黒曜石のかけらを拾った。拾った時はすごく興奮したことをよく覚えている。


今、ガラスのかけらを使って、作っているものがある。
そのかけらを眺めたら、まるであの黒曜石のかけらそっくりだった。あの石をもっと透明にしたら、きっとこうなる・・・・

案外、こんなところがスタートだったのかしら。
ガラスのかけら。
なんだか懐かしく手の中で転がした。

by glassroom | 2008-07-10 22:26 | ガラスのお話


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