あるガラス吹きの徒然日記。

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2007年 02月 11日

消せない言葉

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非常に忙しい週だった。
なので、僕はガラスを生む機械と化してせっせと働いたわけだが、世を騒がす失言大臣のニュースくらいは知っている。

何年前かのある出来事。
新しい生徒さんに指導をしていた。
元気で若く、そして純粋な目の女性。

教えるにあたり、僕はこう考えていた。
例えればピアノレッスンはドレミの指使いを覚え、やがて初級バイエルへ。いつしか難易度の高い曲を弾けるようになるまで、こつこつと練習に励む。
ガラスのレッスンもこれと同じことだ。
少しずつ、階段を上がるように丁寧に。

ある日、その生徒さんがレッスンを受けていた時、僕は助手がその生徒さんに言ったアドバイスが妙に気にかかった。やや難しすぎるアドバイスではないかと。まだドレミを丁寧に言わなければならないレベルなのに、ショパンの曲を教えているように感じられたのだ。
無理を押し付けるのは指導として適当ではない。

僕は言った。
「そんなことを言っても、出来っこないのだから・・・・。」
あ!っと思ったがもう遅かった。
その日を境に二度とその生徒さんは来なくなった。
きっとその生徒さんは大変憤慨したに違いない。「出来っこ無い」と思いつつ教えている指導者になど、教わるに値しないと思ったのだろう。

言い訳をしたくても、謝りたくても、もう話す術もなかった。
油性ペンで書き込んだような、消せない言葉。
自分の気持ちを伝える言葉に慎重さがどれだけ大切であるか、一人の人を傷つけて学んだ出来事。

失言政治家のニュースを聞くたびに、ちくちくと思い出す。
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by glassroom | 2007-02-11 23:33 | 日々の出来事


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