あるガラス吹きの徒然日記。

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2005年 04月 26日

羊たち

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火傷といえば、吹きガラスをしていると、とても危険なイメージを持たれるかもしれません。でも、そんなに火傷をしょっちゅうしているわけではなく、むしろ滅多にすることではないのです。
前々回書いた火傷など非常に珍しいので、思わず書いてしまいましたが。
でも小さな火傷ならちょこちょこあるのです。「あちっ!!」って感じです。


僕はガラスを学校で習った。学校なので同級生がいて、みんなほぼ初心者といってよい状態だったのだが、ここでちょこちょこ火傷をした。どういう火傷かというと、ガラスそのもので火傷をするのではなく、ガラスを触る道具が熱せられて、熱くなった部分をさわってしまうというものだった。
よくやってしまったその道具とはジャックと呼ばれる道具で、ガラスの形を作っていく過程で重要な役割をする道具だ。上の写真の大きなとんがったやつだ。
普段はジャックの先端を使っているのだが、別の動作として反対の部分を使うことがありその際に使っていたジャックの先端がひじの辺に当たり「あちちちっ」となるわけだ。

そんな訳でやけどをすると、ひじにジャックの形で火傷の跡が残ってしまう。
この筋が人によっては何本もあったりして。
でもこの筋を見つけると同級生はにやーっと笑って「おまえもやっちまったか」と、なんだか嬉しそうな表情をみせる。そして不可解なのは火傷をした本人もちょっとうれしそう。
「おお、ガラス屋の勲章つけちゃいましたか。」などと言うやつまで現れて・・・
まるで羊が牧場で「○○牧場」の焼き印を押されて喜んでいるようじゃないか。

まだかけだしの僕らはちょっとでも「ガラスをやってるぜ!」という印が欲しかったのだろう。でも、今僕がジャックで火傷をすることはない。
あれはやっぱり「ガラス屋の勲章」ではなく「不慣れの跡」そのものだったというしかない。

今、火傷はしないけど、ごくまれにジャックで「あち」とやってしまうことがある。
その瞬間、あの頃を思い出してしまう。
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by glassroom | 2005-04-26 22:47 | 吹きガラスの事


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