あるガラス吹きの徒然日記。

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2006年 04月 16日

シロップ

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シロップという言葉の響きに、ある感情が湧き起こる。

子供の頃、お菓子の種類は今ほど多くはなかった。
家には時々果物の缶詰があって、パイナップル、二つ割りの桃、みかんなどはなかなかの贅沢品だった。
缶を開け、桃を器に移す。ついでにシロップをそそぐ。
繊維にずぶずぶとフォークが沈みこみ、そして切り取られた桃。
口に放り込み、シロップをすこしすすり込む。
甘い、缶詰独特の果物の感触。

母は時々みかんの缶詰でゼリーを作ってくれた。溶かしたゼラチンにみかんを入れる母。僕は缶に残ったシロップを見つめ、ちょっとなめてみる。
みかんの味が少し移ったシロップ。
あと少ししたらゼリーは固まるだろう。そうしたら透明のぶるぶるした固体に沈むみかんを食べるのだ・・・・

あるいは風邪薬。
まるでミックスジュースのような色をした子供用の風邪薬。
苦い薬が甘い液体で溶かされている。この甘い液体もシロップという名称であることを知ったのは少し成長してからだ。
こちらは美味しいわけではないけれど、これを飲むのは学校を休んで、家で寝ている状態であることが多かった。
今頃、学校では算数だな、などと思いながらだるい身体を布団に横たえテレビを見る。
みんなは勉強しているのに、僕はテレビを見ている。そしてそれには風邪という正当な理由があるのだ。少し後ろめたく、そして守られているような安心感・・・・

缶詰のみかんを食べる事もめったに無くなり、風邪といえど手放しで気楽に寝ていられない今、シロップというと子供の頃の幸せな感覚が湧き起こるのだ。


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by glassroom | 2006-04-16 21:44


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