あるガラス吹きの徒然日記。

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2006年 03月 07日

刹那

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前回の記事でコメントをくださったちゃこさんに返事を書かせていただきながら改めて感じた事を。

ガラスが一番綺麗な瞬間とは何か。
人によって様々な意見があるけれども、僕はやっぱり「溶けているとき」だと思う。

900度を超える頃からそろそろガラスは溶け、そして熱を溜め込み光を放ち始める。作業が出来るようになる1200度前後になると、ややまぶしく感じてくるほどの明るさだ。
その光は、だが窯から出ると長くは続かない。

清らかな水が、深度を増すと光を透過させながらも紺碧の度合いを増すように、ガラスは厚みを増せば増すほど、巻き取られた瞬間に深い底からまるで夕日を思わせるような深い朱色の光を痛みを感じさせるような熱線とともに目と肌に投げかけてくる。

だが、吹き竿に巻き取られ、ふわふわと揺れながら、重力に従いとろりと落下しようとするその姿は一瞬で、まるで夕日が一瞬のうちに地上の稜線に消えていくように朱色の輝きは透明なガラスの中へと吸い込まれてしまう。

そんな一瞬の変化を目の当たりに出来るのは、残念ながらそのガラスを触ることが出来る人だけなのだ。
まだ何の形でもない、ただの液体でしかないガラスが実は最も美しいのかもしれない。

だが、それが皆さんの目に触れられない片隅でおこなわれている事はちょっと残念であり、またちょっとよいかもしれない。それだけで綺麗だと思われると作る方はやっかいだから。


参加してます。

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by glassroom | 2006-03-07 23:15 | ガラスのお話


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