あるガラス吹きの徒然日記。

glassrooms.exblog.jp
ブログトップ
2005年 11月 28日

高揚と抑制

d0029974_2358096.jpg

ガラスを完成形にもっていくまでにはストーリーがある。

溶けたガラスを窯から取り出し、形を作り火で暖め吹き・・・
一つ一つの作業のどれが抜けても次へは進めないし、一つの作業をいい加減に終了させる事は出来ない。そんな事をすると、必ずそこから横道にそれてしまい、美しい最終形にはたどり着く事はできない。
だから各々の作業をしっかり考えたいのだけど、その場で考えてから動く時間は吹きガラスの場合まず無い。

作業に入る前にあらかじめ各場面が頭の中で映像化出来ていないと、いざその場面になると手が止まり、ガラスが冷えて変形し、本道に戻るためにえらい遠回りをする事になる。

こんな事を密かに、作る時に感じているものだけど、このドラマは作っている当人しか観る事ができない。そしてこのドラマに感動したり喜んだり、悲しんだりしているのも作っている当人だけだ。
このドラマが美しい終わりに向かっている時、当人は高揚している。
「おお〜きれいやん、スゴイやん、僕って天才!」・・・僕の場合、まあこの程度だが。

そしてこの高揚が危険だ。
各場面を美しく仕上げ、次の場面へと引き継ぐためには何より計画性と冷静さが必要だけれど、高揚はそれを忘れさせる。
だから高揚を抑制する理性が必要となる。

何度も見る。そうすると初めて場面を解析するだけの冷静さが生まれるものだ。
冷静さを生むというのは感動を抑えるということでもある。ちょうど感動する映画を何回も見ると飽きて冷静に観ることができるのと同じように。

結局、感動を抑えることによって、初めて感動するものを作れるかもしれない、とも言える。
随分と意地悪なストーリーだけど実はガラスだけではなく、どの世界でもそうなのかしら、と思いが至るのはガラスを始めてからだった。


参加してます。

人気blogランキング
[PR]

by glassroom | 2005-11-28 00:49


<< 花の結晶      らくがきちょう >>