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あるガラス吹きの徒然日記。

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2005年 10月 21日

コマとたまごっち

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娘のたまごっち。そして僕のコマ。
コマは僕の子供の頃からのもの。年季が入っている。

両者には決定的な差がある。
独断で言うならばコマは文化でたまごっちは文明だろうか。
どちらがいい、悪いの話ではないけれど。

コマを回すには一応マニュアルのようなものがある。それは親や兄弟、友達などから口と身振りによって伝えられる。ひもをこう巻いて持ち方はこう、こういう風に投げる・・・
一応の技術の伝播が済んだら、後は言葉にならない部分を次の人が作る。
戦うためにはもうちょっと芯を短く、とか微妙に手首を使うといい、とか。
しかもそれは全てのコマに応用できる訳でなく、自分のものだけだったり、フィールドの条件によって投げ方を変化させたりという判断を迫られる。経験の蓄積によりどんなコマが有利か、どんな投げ方がいいのかが蓄積して次の世代に伝えられてきた。

一方たまごっち。
携帯からダウンロードしたアイテムを通信で本体に送り、様々な遊びを楽しめる。アイテム、キャラクターは多種多様なので、書店で売られているマニュアル本を買わないと、この小さなゲームの能力を知る事は出来ない。
こちらも勿論、ユーザーのデータを参考に、次世代の開発をして飛躍的に進化、伝播するのかもしれない。だが、ユーザーは開発者の意図から外れたところでは遊ぶ事はできない。
今はやりの「想定内」のみでの遊びだけのようだ。
そしてコツやノウハウは仕様が変われば使えない。全般的な傾向などは応用がきくかもしれないが、細かいコツはこの機種のみの世界での話だ。

コンピュータが生まれて、この世界は変わった。
コマは「古代〜コンピュータ前まで」というカテゴリーの歴史文化博物館に押し込められ、実質的価値を失った。
価値が無いから、作る人も使う人もあまりお金や仕事に縁がないだろう。
コンピュータは現代の価値そのもの。だからそれに携わることにより、お金やビジネスが生まれるのは当然だ。

吹きガラスでモノを作るのにマニュアルはない。コマと同じ。
吹きガラスは言うまでもなく、文化博物館の中にある。

そして、僕はコマを回す事が出来た爽快感を忘れることが出来なくて、未だに「コマの回し方」を人に伝播しようなどとしているのだ。
たまごっちが何より好きだったら、今頃六本木ヒルズに住めたかもしれないのに・・・
わけないか。


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by glassroom | 2005-10-21 22:27 | 吹きガラスの事


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