あるガラス吹きの徒然日記。

glassrooms.exblog.jp
ブログトップ
2005年 10月 18日

小さな宝物

d0029974_23153231.jpg

サンドブラストという技法は、吹きガラスが体育会系で汗臭い部室に溜まり、「俺よー、今日でっかいガラスをがんがん吹いちゃったぜ〜」という雰囲気に対し、文科系クラブでちょっとよそ行きの服着て、作業の合間には紅茶とスコーンでも出して休憩しましょう、と言いながら昨日の映画について語り合う、という感じである。(ホンマかいな・・)

サンドブラストと言うのは、切り絵といっていい。いろんな方法があるけれど、僕は絵を描いて、ガラスに張ったマスキングテープをカッターで切り抜く、という方法をしている。
切ったテープは部分的にはがして作業をしていく。
細かい作業だが、このテープをはがすのに、ピンセットを使う。
僕がいつも使うこのピンセット、僕の師匠がくださったもので、これは僕の宝物だ。

師匠とはガラス学校を通じ指導をしていただいた。コンテンポラリーアートが主流の学校で、生徒もそういう指向が強い中、工芸の美というものを追求されておられる師匠が一年だけ授業を持たれることになった。で、僕はその授業を受講させていただく事にした。
そういうことなら、「師匠」じゃなくて「先生」なのだけど、師匠と呼ぶには訳がある。

授業を選択したのは僕一人だった。皆、現代アートに突っ走り、僕しか選択しなかったのだ。なので一年の間、師匠にマンツーマンでサンドブラストを伝授していただいた。夏休みは師匠のアトリエに呼んでいただき、授業はずーっと二人きりで教室を使った。なんという贅沢。

おおらかで豪快な師匠だったが、絵を描く時とガラスを彫る時は非常に厳しかった。
師匠は主に植物など自然をモチーフにしておられたので、植物のディテールには特に厳しく、葉っぱの形、つき方、そしてそれをデザインとしてまとめる時は「おいおいおい、そりゃいかん」と叱られ、そのまま外へ連れて行かれ葉っぱを探しスケッチさせられた。

師匠、年間の授業もそろそろ終わり、という時にぽろっとピンセットを出して僕に手渡たしてくださった。
「これは僕が使ってるピンセットだ。これをあげるから使いなさい」と。
そのピンセット、先端が削ってカスタマイズしてあり、しかも見た事無い感じの手作り感。
ありがたく頂戴して、使ってみると、まあ!使いやすい使いやすい。

それ以後、僕の宝物。

でも・・・卒業の時、僕の作った卒業制作は師匠とは全く違う「僕の絵」で、想像の世界だった。デザインも継承すべきというスタイルの師匠にとってはちょっと心外でおられるかもしれない。
でも僕は師匠の技法とピンセットは受け継いでいるつもりでいる。

(あ、ちなみに今も師匠はものすごくお元気で活躍されておられます。念のため・・・)


参加してます。

人気blogランキング
[PR]

by glassroom | 2005-10-18 00:01 | サンドブラストの事


<< 月      何もない一日 >>