あるガラス吹きの徒然日記。

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2005年 09月 30日

無花果

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いちじくというくだものを知ったのも、食べたのも、おばあちゃんの家だった。
おばあちゃんの家の庭にはいちじくの木があり、夏から秋にかけて毎日のように収穫されたいちじくは、両親と一緒におばあちゃんの家に訪問した際にどっさりと、冷蔵庫から取り出されることになっていた。

「不思議なたべものだなあ」
それが僕の感想だった。果物というものはだいたい甘酸っぱいのに、こいつはフワフワしていて、酸味はあまりない。でも、とても美味しいし、僕は大好きな食べ物になった。
母の説明によると、実のようなのに中はどうやら花の集合体であるということも「変な珍しいやつ。」という印象を強くした。

おばあちゃんの家は、気持ちいいけど僕にとっては少し退屈な所だった。
おばあちゃんは好きだったけど、ここには子供が好きなおもちゃも漫画もないし、庭もきちんと整備されて暴れるようなことはできない。
おばあちゃんは両親と世間話や用事をしていて僕と遊ぶわけでもなく、手持ち無沙汰なことが多い僕はもっぱらいちじくをほおばったりしていた。


自分の工房を構えた時、建物の横に切り株があった。なんだろう、と思っていたらだんだんそこから枝葉を伸ばし、それはいちじくとなって小さな実を結んだ。
「先生、イチジクは花が無いと書いて無花果だし、縁起が悪い、あまり家に植えるとよくないと言いますよ」などと親切で教えてくれる生徒さんもいたが、いちじくは僕にとってなんだか特別のものなので、切る気にならず、そのままおいてある。
そして、今年もまた小さな実を結んでいた。

工房に無花果が生えたのは、今は亡きおばあちゃんが天国からいたずらしたのかもしれないなあ。時々そんなことを思う。


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by glassroom | 2005-09-30 22:11 | 日々の出来事


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