あるガラス吹きの徒然日記。

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2005年 09月 24日

寸法との戦い その2

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ガラスを寸法通り作るのに問題なのは、手で大きさを作るのではない、ということだ。手で作れば、その大きさになるようにゴニョゴニョいじればいい。
でも、大きさを作るのは「息」だ。

長いパイプの先に風船がついていて、パイプを吹いてその風船を膨らませてタテ20cm、ヨコ15cmにしなさい、といわれたらどうするか。ぷーっと吹いて膨らませてその大きさにする。
触ってはいけない。ちょっと離れたところから見るだけ。

と、まあこういうことだ。
これを作りたい大きさにするには・・・僕の方法。

まず、原寸大の絵かその大きさに開いたゲージを用意する。
それを目が乾燥するくらい見開いて凝視する。
イメージする、大きさを。・・・これはメロンの大きさやな。あ、子供の頭くらい、頭をなでるとこんな感じの大きさ。手を動かして・・その大きさを何も無い空間で動かして、手におさめる。
空間にその大きさをぽっかり映し出せるように何度もイメージ。
それから吹く。

その大きさまで膨らました瞬間にとめる。
「たぶん、この大きさでいい」
そう思ったら、一応確認用にゲージを当てる。
合わなかったら終わり。それは失敗。
小さすぎたらもうちょっと吹いて大きくできるけど、大きすぎたらもう終わり。
吹いてそのまま完成ならいいけど、お皿なんかは吹いたものを広げるから、完成の大きさを合わせるには苦労する。広げた風呂敷の大きさを、包んだ状態を見て当てるような感じ。

そんな作業。

初めのうちは合わなかった。何度やっても何度吹いても。
依頼された一つのピースを仕上げるために、一週間吹き続けて全部失敗したこともある。
でも、人間の感覚はすごい。今ではだいたい思った通りの大きさにできるんだもの。
こういう仕事はアートとはもちろんいえない。そして僕は職人でもない。
なぜするかというと、自分の技術を客観的に見る。それだけだ。
こういう依頼、とてもいい訓練。
でも採算はとれないから、このご時世やっぱりお受けすることには躊躇する。

(これはあくまでも僕のつたないやりかたです。ひょっとすると、みんなもっと賢い方法でしっかり作っているのかもしれないので、宙吹きをしている人がみんなこうだと思わないでね)


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by glassroom | 2005-09-24 23:38 | 吹きガラスの事


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