あるガラス吹きの徒然日記。

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2010年 10月 26日

十年一度

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久々の更新。

暑い夏が終わり、急に涼しくなる日の未明のこと。いままでの暑さを蹴散らすように寒気が雷を連れて来た。
雷鳴に弾けるように飛び起きて、ああ、こりゃやばいなと頭をよぎり、早く工房に行かなくちゃと思うものの、身体はまだ眠っていて動かない。天気予報で予想はしていたが、でも事態は思うより深刻だった。
すこし落ちついたところで工房に向かう。思った通り、電源が落ちていて窯は止まっていた。
いつもなら、ここで電源を入れ直し息を吹き返すのだが、ふと見るとプロコン(温度管理のコンピュータ)の表示が消えている。
どうやら落雷の電流で電気部品がダメになったようだ。
それから・・あれこれ試すも窯は無情に冷えて行った。

2、3日が過ぎ、全部の事をキャンセルして、一応の修理の手配をしたら気が抜けた。一週間、呆然と過ごし、それから自分の中の火も段々と消えてしまった。
窯の中には「るつぼ」という陶器の入れ物があって、その中でガラスが溶けている。窯が冷えると、るつぼはダメになる。そしてるつぼの制作を注文したら出来るのに一月以上必要だ。
ガラスも僕もすっかり冷え、その間に季節も冷えていった。

何より、自分の気持ちを制御するのに労力が必要だった。ガラスの温度の制御も大変だけど、気持ちにはプロコンもバーナーもない。それでも普通の生活を続けていたら、でもなんとなく元に戻った。
今、始動に向けて準備を始め、自分の中のパイロットランプが小さく火を灯し始めた。
この一ヶ月は充電したのだと思おう。お金は放電しちゃったけれども。
工房を作って10年、まさに10年に一度の災難だった。
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by glassroom | 2010-10-26 20:59


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