2009年 11月 25日

チーズフォンデュ

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今年のボジョレーがいい出来だというので、妻が気を利かせて買ってきた。
メニューもチーズフォンデュにして合わせたようだ。
子供の味覚に合わせ、ワインの代わりにミルクで溶いたチーズにパンをつける。さすがにちょっと子供向けの味だけど、ワインを飲みながらだからこれでも十分。


学生時代、初めての海外旅行。
訪れたスイスで初めてチーズフォンデュを食べたときは、想像と違う味に驚いた。それまで知識でしかない、溶かしたチーズにパンをつけて食べるという行為。
一度食べたかったんだ!想像するだけで、わくわくしてテーブルについた。
まだ、アルコールが苦手な年頃だった。やがて運ばれてきてテーブルに出た鍋の、まず匂いに驚かされた。
「ちょっと日本のチーズと違う・・」
立ち上る、なれない香りに内心少し戸惑いながら、小さなバケットを一切れチーズに絡ませておそるおそる口に入れる。
「くさい・・・しかもワイン!」
ワインの味なんて、さっぱりの若造だ。気持ちは一気にブルーになった。
友人と共に4人ほどで囲んだテーブルだったが、皆同じ気持ちだった。
空腹なのに手のでない悲しさに会話が途絶えてきた。

ぐつぐつ・・
マグマのように沸いているチーズ。
立ちのぼる、えもいわれぬ香り。
皆、手は出ない。

結局、いくらも食べないまま、まだ空腹でありながら食べる事ができず、下げてもらう事になった。鍋を下げるレストランの女性の、何とも言えない悲しそうな表情がいまだに記憶に残る。

くせもなく食べやすいチーズフォンデュをほおばりながら、今では栓を抜いたばかりのボジョレーがもう空になりそうだ。
知らぬ間に、時間が過ぎたなあと思わせる夜だった。
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by glassroom | 2009-11-25 16:17 | 日々の出来事


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